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ウルグアイの作家が自殺した。その伝記を書こうとしたアメリカ人(オマー・メトワリー)が、残された家族たちの承諾を求めるためにウルグアイへと向かう。若い伝記作家の登場が、残された家族たちの鄙びた生活を揺り動かしていく様子を描く。 ウルグアイの田舎には古い大邸宅があり、そこには未亡人( ローラ・リニー)、愛人( シャルロット・ゲンズブール)とその子供、年老いた兄( アンソニー・ホプキンス)とホモの相手をつとめる男性(真田広之)が住んでいた。ウルグアイに残された白人の楽天地で、4人は昔ながらの優雅な生活を送っていた。かつてはきわめて裕福だったのだが、今では現金がなくなってしまい、かつての遺産で生活している。そのため、誰も新たな生活には踏み出せない。 広大な農地のなかに大きな屋敷を構え、暖炉の脇でスコッチを嗜むという生活は、日本では想像できない設定である。しかも、未亡人と愛人が同居しているのも、なかなかシュールな生活である。そのうえ、来訪者の伝記作家は都会志向の未亡人とではなく、土着指向の子持ちの愛人と恋に落ちる。 年老いた兄というのが、15歳だった日本人男性を性的な対象として扱い、すでに25年も同棲している。成人の白人男性が小柄なアジア男性を、性的な欲望の対象として恥じない設定は許されるものではない。しかし、この映画は2人が出会ってから25年後に設定されているので、老人になった男性と40歳の男性の長い愛情関係として肯定的に描いている。保護を与える白人と、保護に感謝する従順なアジア人。全裸のアジア人が着衣の白人の脇に寝そべる。これは平等なゲイではなく、人間に上下を認める古いホモだ。 都会志向の女性が嫌みに描かれ、農村指向の人間たちに愛情をもって描いている。最終目的地がウルグアイの農村とは、古いものへの郷愁が撮らせた映画だろう。愛人との生活のため、再度ウルグアイへ来てしまった伝記作家は、田舎での農業ができるのだろうか。愛情に殉じた彼の今後の生活がいささか気になるところである。 ジェームズ・アイボリー監督は1928年生まれで、この映画を撮ったときには80歳であった。 ベルナルド・ベルトルッチ監督の「魅せられて」と同じような感じである。 原題は「THE CITY OF YOUR FINAL DESTINATION」 2008年アメリカ映画 (2012.10.8) |
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