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日本の古い話を下敷きにしながら、近代の文明が自然を破壊し、自然の掟に逆らってきた様子を、現代的な視点で展開する。 見応えのある話の運びである。 時代は中世に設定されているが、女性が多々良を踏んだり、ライ病の部落民が大切にされていたり、時代考証は無視している。 アシタカの住む東国の部落に、祟り神となったイノシシが来る。 西国は先進地域であったが、もっと西にはエボシ御前が、製鉄の技術を持つ集団を率いて、山に砦を構えていた。 山=自然を守ろうとする動物たちと、近代的な技術を持つエボシ御前の自然開発が、正面からぶつかる。 自然保護派と開発促進派のあいだに、両者が殺し合わなくてもすむ妥協点を見つけようとするのがアシタカである。 縄文的なイメージ、手塚治虫の「火の鳥」の生命源のアイディア、古事記や風土記などの歴史、西国と東国の文化格差など、様々なアイディアを盛り込んで、現代的な開発か自然かを展開する。 自然と人間世界の対立は、工業社会が行き詰まってきたことに対して上げられる声だが、その根本的な解決はいまだ無い。 自然の偉大さを讃美したり、人間の卑小さを訴える方法は、今までの人間が築いてきた文明や文化を崩壊させる方向だろう。 宮崎監督は、自然賛歌と人間賛歌のあいだで、どちらとも判断を下さない。 ディズニー映画の登場人物が、情報社会に適応すべく小型化している。 | |||||
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