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1969年9月4日に発生した、ブラジル駐在のアメリカ大使(アラン・アーキン)を誘拐して、逮捕されている政治犯の釈放を計った事件をもとに、この映画は作られている。 当時のブラジルは、クーデターにより軍事政権ができ、報道の自由をふくめ市民の権利が脅かされていた。 政治犯と見れば逮捕し、拷問がまかり通っていた。 しかも、共産主義の恐怖から、当時のアメリカは軍事政権に肩入れしていた。 この映画の主人公フェルナンド(ペドロ・カルドーゾ)は、学生の街頭闘争に飽きたらず、武力闘争にかけるMR−8に入る。 MR−8は、資金稼ぎのために銀行強盗をやり、次の作戦を練っていた。 1970年6月、今度はドイツの大使が誘拐され、40人の政治犯と交換される。 最初に、共産党や非合法組織の素描がなかったので、ブラジルの政治状況が判りにくかった。
ごく普通の生活をしている人間が、武力闘争に入る。 MR−8のメンバーは組織の中では、上意下達の鉄の規律を要求される。 暴力が人間の神経を腐敗させていくことを、政府側の人間にも描いている。 アメリカ大使の釈放期限を、MR−8は48時間と区切る。 MR−8に誘拐・監禁された極限状態の中で、アメリカ大使とメンバーが見せた緊迫の演技は素晴らしかった。 見せる映画としては、フェルナンドがMR−8に入ってから、誘拐作戦が成功するまでに大きな時間を割いているが、簡単ながらその結末にも触れている。 MR−8のメンバーに限らず、革命運動に身を投じるのは、中流階級のお坊っちゃん・お嬢さんたちだ。 革命側から映画を撮りながら、MR−8に感情移入しながら、暴力の無意味さを描くこの監督の力量は大したものである。 この映画はアメリカでは決して出来ないだろう。 | |||||||||
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