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ベルトリッチが、イタリアに帰って撮った映画だが、老人の懐古趣味に過ぎない。 1941年生まれの彼は、老いる年ではないのに、老人じみた姿勢。 彼はハリウッドで功なり名をとげた。 老いてひからびた精神が過去をなつかしみ、そのスタンスから現在の若者に向かって訓辞を垂れる。
この姿勢では何も生まないし、つまらない映画にしかならない。 エアロ・スミスの娘リブ・タイラーを主人公に迎え、若いアメリカ女性が自分の父親を捜しに、イタリアにいくという話だが、ストーリーはどうでもよく、ただ彼の思いを述べた映画である。 登場人物が、監督の倫理感の中でのみ動いており、社会からの影響が薄い。 主人公のアメリカ女性が19才になっても処女で、彼女は素敵な男性の登場を待っている。 ニコロの手紙を代筆したのは彼だということから、彼女は彼と結ばれるのだが、驚くことに彼も童貞だった。 美しい風景やきっちりとした画面構成にのって、画面が展開していくが、こうした様式はすでに新鮮でも衝撃的でもない。 ヴィスコンティが見せたように、文化の成熟や爛熟が、美しく見えるときがあるのは認めるにしても、その中で人間が動く様を、現代的なところから照射しないと映画にはならない。 ずっとイタリアで活動している監督が、農耕社会に足をついて、「宣告」を撮ればそれなりに納得できるが、情報社会を知った人間が農耕社会に戻っても、そこでは精神のみずみずしさを得ることはできない。 1996年のイタリア・アメリカ・イギリス・フランス映画 | ||||||||
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