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監督も替わり、カメラも変わった。 変わらないのは、主人公のイーサンを演じるトム・クルーズと相方のルーサー(ヴィング・レイムス)、それにリズミカルなテーマ曲くらいだろうか。 そして、何より変わったのは、スパイの私生活が画面に描かれたことだ。
このテーマ曲は、いつ聴いても良い。 「007」や「オペラ座の怪人」などのように、曲をきけばすぐに、その映画を思い出せるし、気持ちが浮き浮きしてくる。 今回は、すでに現役としては年齢のいったイーサンが、スパイ養成所の教官から現役にカムバックする話である。 彼の教えたリンジー(ケリー・ラッセル)が、敵方に拘束された。 そこで彼に救出の指令がでる。 それが何と、彼の結婚パーティの最中に指令が来るのだ。 頭を抱えながらも、彼はその指令に従って行動を始める。 当然のことに、奥さんのジュリア(ミシェル・モナハン)は、彼の行動に疑問をもつ。 どうもimf内部での意思の疎通が悪いらしくて、上司のブラッセル(ローレンス・フィッシュバーン)からは、独断での行動だと厳しい非難を浴びる。 ブラッセルが敵方と通じているという話が入るが、実はその下のマスグレイブ(ビリー・クラダップ)が裏切っていたというオチである。 話の展開は、こうした映画の平均点であろう。 特別に優れているのでもないし、そんなという無理無理はない。 映画の舞台は、ハリウッド映画特有の、ベルリン、ローマ、上海と、世界中を駆けめぐる。 とくにローマはバチカンの内部と、上海近郊の西塘(シータン)が美しい。 短いカットが、つぎつぎと展開される。 そのリズム感が良い。 演技の下手なトム・クルーズも、速いテンポに大いに助けられている。 反対にじっくりと見ることができないので、演技派のフィリップ・シーモア・フォフマンは、ちょっと損をしているかも知れない。 フロリダの海のうえの高速道路や、上海の摩天楼など、仕掛けは大がかりである。 ヒット作も第3作目だからか、ますますお金がかかっている。 しかし、スパイの私生活を見せて、何になるのだろうか。 妻のジュリアが登場しただけで、彼女が脅迫の材料に使われるのが、見えてしまって興ざめだった。 スパイ活劇には、プライバシーはない約束じゃなかったろうか。 それを最大限に追求したのが、「Mr.& Mrs.スミス」だった。 「ミッション・インポッシブル−2」ではアジア人の監督で、現代的な男女関係を描けなかった、とでも考えているのだろうか。 でもジュリアの登場のさせ方は、ちょっと芸がない。 いまや大概のことは、CG合成ができるので、ちょっとやそっとのスタントでは驚かない。 この映画でも、上海の超高層ビルの屋上から、隣の超高層ビルの屋上へと、ダイビングするシーンがあるが、底が見えているだけに感動はない。 スパイ映画としては、「ボーン アイデンティティ」「ボーン スプレマシー」シリーズのほうが、上出来である。 トム・クルーズはよく走る。 この映画でも、ずいぶんと走るシーンが多かった。 しかも、上半身を垂直にたてて、腕を直角に振っての走りは、すでにお馴染みのものだ。 テレビ界の監督が、メガホンをとったせいか、人物のアップシーンがとても多かった。 優れた映画とは言い難いが、お金を払って見て損はない。 2006年アメリカ映画 (2006.7.10) |
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