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スタンフォード大学の学生仲間4人が、ガレージでコンピュータをいじっていた。 なかでもマイロ(ライアン・フィリップ)とテディ(イー・ジェー・ツァオ)は親友で、しかも2人とも天才的な才能があった。 マイロはマイクロソフトを模したと思われるナーヴ社へ就職、テディは才能を大切にしてくれる小さな会社に就職する。
しかし、画像圧縮ソフトの開発が遅れて、スケジュール通りに立ち上げられなくなりつつあった。 マイロは画像圧縮ソフトの開発に取り組むが、ゲーリーは出所不明のプログラムをしばしばもってくる。 それらのプログラムは、盗んだものだった。 テディが圧縮プログラムの開発に成功すると、ゲーリーの仲間は、彼の作ったプログラムを盗むためにテディを殺してしまう。 それを知ったマイロは、同僚のリサ(レイチェル・リー・クック)と共謀して、シナプスをつうじてナーヴ社の秘密を世界的に暴露してしまう。 その過程を、サスペンスとしておった映画である。 「ファイト・クラブ」や「メメント」などの、 映画の内容そのものが情報社会的な展開とは違って、舞台だけがコンピュータ業界というだけである。 マイクロソフトのOS独占に対して、公開しないのはフェアーではないと映画はいう。知識は万人のものだ。 だからプログラムは公開すべきだ、という主張がこの映画の主題である。 それにたいして、マイクロソフトつまりゲーリーは知識は開発した人間のものであり、それを使ってお金儲けをしてどこが悪いという。 そこまでだったら、どちらもどっちという話だが、プログラムを開発した人から盗んでくる。 ましてや殺人、そうなると犯罪である。ここに至ってこの映画は、平凡なものとなってしまう。 ナーヴ社は自己の独占を確保するために、すべての放送局に手下を配置している。 また司法省の人間まで買収している。そのうえマイロの学生仲間として、アリス(クレア・フォラニー)を送り込み、マイロの恋人に仕立ててしまっている。 マイロの才能を買って、学生時代から青田買いというわけだ。 いくらなんでも、そこまでいくだろうか。 原題は「Antitrust」だが、監視という副題がついているとおり、プログラムの開発者はすべて監視されている。 それがサスペンスの鍵なのだろうが、ちょっと無理がある。 ゲーリーからのスパイだったアリスは、最後に裏切ってマイロにつくし、なんとナーヴ社のガードマンまでがゲーリーを裏切る。 むしろ原題のほうが、意味が通る。仲間の裏切りによって話が展開するなら良いが、裏切りによって決着がつくのはいただけない。 善人と悪人が対立しているなかで、両者が裏切ってばかりいたら、話は成り立たないではないか。 主人公が犯人を追いつめたと思ったら、仲間の警官が裏切って犯人を逃亡させてしまう。 犯人が犯罪を完遂すると思われたときに、仲間の裏切りによって捕まってしまう。 これでは映画にならない。 裏切りや密告を取り入れるのはいいが、それを物語のなかで納得させなければならない。 なぜ裏切るのか、なぜ密告するのか、心理的な必然性があるはずで、それを逸脱した展開では観客は納得できない。 映画といえども、いや映画だからこそ、現実の人間心理にしたがった展開であるべきで、ご都合主義的に裏切りをさせてはならない。 ところで、コンピュータ関連の映画はたくさんあるが、その多くが男性を主人公にしている。 「グッド・ウィル・ハンティング」 「ファイト・クラブ」 「a.i.」「メメント」 「ソードフィッシュ」など、男性が主人公の映画はきわめて多い。女性が主人公になるのは、コンピュータ社会を担う者として動くのではない。 「彼女を見ればわかること」「ゴースト・ワールド」「ブリジット・ジョーンズの日記」のように、情報社会から疎外されるものばかりである。 女性プログラマーを主人公にしたのは、「インターネット」くらいしか思い浮かばない。これはどうしたことだろう。脱肉体的な腕力の勝負とすれば、女性も男性に勝るとも劣らずに、活躍できるはずである。 しかも、対比のためにあげた上記の映画は、女性のハンディである妊娠・出産とは関係がない。 コンピュータをめぐる頭脳で、男性以上に女性が活躍する、そんな映画はまだ見たこともない。 これは映画製作者が怠惰で、有能な女性を発見していないだけなのだろうか。 情報社会では肉体的な腕力は不要だというが、それに代わる頭脳労働がどうも男性向きにできているような気がする。 プログラミングに興味を示すのは、多くのばあい男性で、女性は思考には興味がないのだろうか。 コンピュータ・オタクの女性というのが、どうもイメージできない。 この映画でも、女性の役割は男性のアシストだったが、それが現実なのだろうか。 女性のオペレータは良く聞くが、プログラマーを聞かないのはなぜだろうか。 2001年のアメリカ映画 |
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