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1969年の西部劇『勇気ある追跡』のリメイクだという。 大酒飲みの連邦保安官ルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)と、父親の敵討ちを願う14歳の少女マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)の犯人追跡物語である。
犯人はインディアンの住む地域へと逃げ、彼女はコグバーンを雇って敵を討とうとする。 時代設定は西部開拓時代。 まだ蒸気機関車が文明の息吹だった時代である。 当時は14歳の少女といえども、1人前に見られていたのだろうか。 彼女は大の大人を向こうに回して、堂々と渡り合う。 馬の管理不備をせめて、330ドルを手に入れ、それでコグバーンを雇う。 当時は連邦保安官を自前で雇う時代だったらしい。 そういえば、街の広場で公開絞首刑が行われていたから、野蛮な時代だったのだ。 犯人を追って、道なき原野を2人は馬で進む。 途中で、別の容疑でチェイニーを追っていたテキサス・レンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わり、過酷な旅を続ける。 犯人はネッド(バリー・ペッパー) 率いる悪党達の仲間入りしていた。 最後は何とか敵討ちが出来るのだが、彼女は毒蛇に咬まれて片腕を失ってしまう。 最初のうちは、連邦保安官が真の勇気かと思ってみていたが、見終わってみると敵討ちしたマティが真の勇気に思える。 彼女は鼻っ柱の強い、いかにもアメリカ人好みの自尊心の高い少女である。 我が国で描かれる少女象とは大違いで、彼女は大人に対して一歩も引かない。 我が国では跳ねっ返りの小娘で鼻つまみだろうが、この映画では真の勇気ある者と描かれている。 14歳とは中学の2年生である。 確かに昔なら、元服も過ぎていたかも知れないし、1人前になってもいい時期かも知れない。 雇い人のトムは、たった2枚の金貨を奪って殺している。 おそらく西部開拓時代とは、人間の質が現在とは違っていたのだ。 この映画では、当時の人相がリアルに描かれている。 悪人たちは単純な悪人だった。 連邦保安官だって酒飲みに設定されている。 酒飲みながらでも保安官が務まったのだ。 教育を受けた人間と、教育を受けない人間の格差が、歴然としていた時代だったのだろう。 教育を受けないとは、そのまま貧しいことを意味していた。 つまり、貧しいことは文盲であり、歯並びが悪く、したがって人相も悪くなりがちだった。 味噌っ歯の醤油顔は、途上国の田舎に行くと良く見るので、前近代のものかも知れない。 人間の格差が極端に開いていたのが、西部開拓の時代だったのだ。 「ビゴー日本素描集」などでも判るように、それは我が国の江戸時代も同じだったろう。 ジェフ・ブリッジスの演技は、いつも同じ感じがするが、この役には上手くはまっていた。 いかにも教育のない西部の男といった感じが良く出ていた。 それに対して、マット・デイモンはスマートすぎて、あの時代の男と言うには線が細かった。 演技力の差というより、個人的なキャラクターの違いかも知れない。 原題も「TRUE GRIT」 2010年アメリカ映画 (2011.3.25) |
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