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有名な俳優はセレブとして、パパラッチたちに追いかけ回される。 監督と主演をやったエイドリアン・グルニアーは俳優であり、自分が追いかけられるほうだった。 パパラッチの中に、ひときわ若い子供のようなカメラマンのオースティンがいた。 なぜ13歳の子供がパパラッチなのか。 エイドリアンはオースティンに興味をもった。 それがこの映画を撮るきっかけである。 この映画は、ドキュメンタリと言っていいだろう。 両親や周囲の先輩パパラッチたち、写真エージェント、タブロイド紙のライター、そして撮影されるセレブを取材しながら、パパラッチの生態をおっていく。
とくにパリス・ヒルトンは重要な役回りで、以外にしっかりしていること言って、観客を驚かせる。 有名人に私生活はないという判決が出たらしい。 パパラッチに追いかけられるのは、セレブとして有名税の一種だろう。 では、なぜ13歳のパパラッチは問題なのか。 やはり学業がある身で、この年齢から追っかけをやっていては、将来が心配だというのだ。 これはエイドリアンの意見だった。 そこで家庭教師をつけて、学校の成績はBだという。 この母親の意見が面白い。 母親はオースティンのパパラッチを認めており、サポートしている。 しかし、徐々に自分勝手になっていく息子に、このままでいいのか心配になってくる。 4年以上にわたって撮られた映画らしく、映画が終わる頃には18歳になっている。 そして、彼はパパラッチも好きだが、ふつうの男の子になっていく。 この映画は我が国とアメリカの、子供に対する姿勢の違いを際だたせる。 我が国では素直な子供が喜ばれるが、アメリカでは子供といえども自立を良しとされる。 オースティンは13歳でありながら、一人前の意見を持つように、周囲から期待されている。 決して子供だからといって、手加減されない。 もちろん子供だから、セレブ達が警戒心を解くと言ったことはある。 しかし、彼の行動には、自立していることを求め、大人と対等に扱おうとする。 自立を求められるから、彼も必死で理屈を考える。 たとえそれが稚拙でも、とりあえず彼の意見なのだ。 それをもとに議論を積みかさね、独自さを形成していく。 ここには大人を見習うという姿勢はなく、自分で自分の意見を形成していく姿がある。 学校よりもパパラッチを優先し、学び足りないところは家庭教師で補う。 今の彼にはパパラッチはかけがいのない体験である。 ほかの子供とは違っているが、ここには他ならない彼がいる。 独自性を大切にしている。 このスタンスでは我が国の教育は敵うはずがない。 正義を掲げる戦場写真家などは、お金に飢えた禿鷹ではないか。 ありもしない正義を気取って、じつは体制側を支えている。 報道されないことには、民主主義は機能しないと言う。 しかし、お金を求めていることは、パパラッチと変わらない。 きれい事で殺人写真にオブラートを掛けているだけだ。 むしろ、彼等は過激な写真を撮るために、戦火が激しくなることを望んでいるようにすら感じる。 逃げまどう人を撮って、金儲けをしているだけじゃないか。 パパラッチだって世の中の役にたっている。 むしろ平和な象徴である。 パパラッチに追いかけられなければ、セレブではないのだから、彼等がセレブを支えているのだ。 そして、お金が欲しいことを正直に言っているし、人々の癒しに貢献しているだろう。 農村共同体に生きた時代なら、セレブなどいなかった。 王様や貴族など、庶民の生活には縁がなかった。 しかし、今では全員が社会の主人公なのだ。 そして、誰でもがセレブになりうる。 タイムリーな企画だったと思う。 原題は「TEENAGE PAPARAZZO」 2010年アメリカ映画 (2011.2.17) |
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