タクミシネマ        ウォール・ストリート

ウォール・ストリート   オリバー・ストーン監督
 1987年に公開された「ウォール街」の続編を、同じオリバー・ストーン監督とマイケル・ダグラス主演で撮ったものだ。
前作でゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)は、インサイダー取引と証券詐欺罪で、8年の懲役刑を受けた。

Wall Street: Money Never Sleeps
IMDBから
 映画はその出所シーンから始まる。
黒人達には仲間が迎えに来ているが、彼には誰も迎えに来ない。
その7年後、ジェイコブ・ムーア(シャイア・ラブーフ)の会社の株価が、どんどん低下し会社は破産した。
彼が父と仰いでいた経営者ルーは、地下鉄に飛び込んで自殺してしまう。

 株価急落の原因は、投資銀行経営者のブレトン(ジョシュ・ブローリン)が、悪い噂を裏で振りまいていたことを知る。
自社株に投資していたジェイコブも資産を失ってしまう。
そこで彼は復讐を誓う。
そして、ゴードン・ゲッコーに接近する。何と偶然にも、彼はゴードンの娘ウィニー(キャリー・マリガン)と同棲していたのだ。
しかも、ブレトンはジェイコブを社員として自社に雇い入れる。

 リーマン証券の破産で、金融界が崩壊をはじめる。
それを予測していたコードンは、ウィニー名義の隠し預金を、ジェイコブを騙して引き出しロンドンで大儲けする。
騙されたジェイコブは、新エネルギー研究のベンチャー企業にはまっており、それが仇になったのだ。
おかげでウィニーとの間も破綻してしまう。

 お金儲けをゲームと考えるか、優しい人間性を優先させるか。
ゴードンは家庭を顧みずに働いたので、息子はオーバードーズで死んでしまうし、娘とは絶縁状態である。
そこへ娘の恋人をつかって、娘との復縁をちらつかせながら、ウィニー名義の隠し預金を引き出させる。

 自分名義では隠せないから、娘名義にしたのだろう。
しかし、この手の映画は、何を主題にしているのだろうか。
金儲けの哲学か?
それとも金銭原理主義の破綻? 
欲望の肯定か否定か? 
こうしたことは主題になりうるのだろうか。

 若い頃こそ、オリヴァー・ストーンは「ミッドナイト エックスプレス」の脚本を書いたり、「7月4日に生まれて」など、鋭い映画を作っていた。
しかし、もともと映像作家としては、それほど才能がなかったのじゃないだろうか。
スクリーンの構成が下手なのだ。
そのうえ、主題を失ってしまえば、後に残るものがない。

 この映画も、大金がかかっているにもかかわらず、心に残るシーンがないのだ。
マイケル・ダグラスが卑しさを演じて、良い雰囲気をだしていた。
しかし、それだって演出とは思えない。
「ゲーム」でも同じような役柄をやって、それなりの雰囲気だったから、かなり地に近いのだろう。
スーザン・サランドン(Susan Sarandon)やチャーリー・シーン(Charlie Sheen)がチョロッとでていた。
原題は、「Wall Street: Money Never Sleeps」
 2010年アメリカ映画
(2011.2.10)

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