色彩が実に鮮やかで、後の「ファーゴ」などを彷彿とさせ、緊迫したサスペンスに仕上がっている。 マーティはレイを許さない。 私立探偵にレイの殺害を、1万ドルで依頼する。 しかし、私立探偵は反対にマーティを殺してお金を盗み、その罪をアビーとレイにかぶせようとする。 死体のある現場に来合わせたレイは、アビーが殺したものと勘違いし、何とか死体を処理する。 アビーはレイが不自然なので問いつめるが、疑問が疑問を呼んでとうとう仲違いになってしまう。 その時、私立探偵がレイを狙撃、アビーも命を狙われる。 間一髪で逃げ出したアビーは、私立探偵を撃ち殺して映画は終わる。 書いてしまえば筋としては簡単だが、意表をつく展開で、怖ろしげなシーンが続き画面に引き込まれる。 夜の場面が多いせいもあって、顔の片側から光を当てて、強烈な印象を与える。 それにかぶさる音楽がまた怖ろしげである。 勘違いというか、善意の思いこみと策謀によって、事件はとんでもない方へと進む。 それなりに必然性が無くもないが、ちょっと無理が多い。 犯行後の処理がずさんで、あれでは犯人がたちまち逮捕される。 この手のサスペンスでは、そんなことはないだろうと思わせたら、もう観客の興味をつなぐことはできない。 画像としては怖ろしげで引き込む力を持っているが、ストーリーや人物設定に無理がある。 だから人物設定に無理があっても、描写に破綻があっても、そんなことはあまり気にしないのだろう。 次々に起きる手違いが、トンでもない話になっていくところは「ファーゴ」とそっくりである。 しかも、美しいシーンが連続するところも、この監督の体質を良く物語っている。 コーエン兄弟には、「ビッグ・リボウスキー」などの訳の分からない映画と、この映画のようにボタンの掛け違いといった展開の映画と、二つの傾向があるようだ。 いずれにせよ、何とはない雰囲気を楽しむ映画作りが得意なのだ。 時代にはあまり関係ないから、古い映画の再編集でもそれなりに見ることができるのだろう。 映画の中でケチャが映画音楽として使われていたが、やや馴染みの悪さというか、音だけが目立ってしまう感じがした。 発生の違う系統の音を使うのは難しいものだ。 1999年のアメリカ映画。 | |||||||
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