タクミシネマ              ビッグ リボウスキー

ビッグ リボウスキー  コーエン兄弟監督  

 コーエン兄弟の映画だから期待して見に行ったのだが、何だか良く判らなかった。
彼等の前作「ファーゴ」は良い映画だと思ったけれど、初期の「赤ちゃん泥棒」のような不思議な展開を見せて、昔の作風に戻ってしまったような感じだった。

ビッグ・リボウスキ [DVD]
公開前の広告ビラから

 リボウスキ(ジェフ・ブリッジス)という名前の男が、同名のために間違われて襲われる。
彼は通称、ザ・デュードと呼ばれている。
それで、本人のところへ文句を言っていくと、彼の奥さんが誘拐されたので、助けてくれと頼まれる。
100万ドルを犯人のもとへ届ける役なのだが、それを友達のウォルター(ジョン・グッドマン)と横領しようと工作する。
そうこうしているうちに、スーツ・ケースを車ごと誰かに盗まれてしまう。
あわてて、そのお金を追っているうちに、実はもう一人のリボウスキがしくんだ狂言だと判る。
スーツ・ケースには最初から100万ドルなんて入ってなかったのだ。

 もう一人のリボウスキは、超裕福な外観だった。
しかし、実はお金がなく、亡奥さんの残した財団から養育されていたのだ。
現在の若い奥さんがいなくなり、誘拐したとの脅迫が入り、100万ドルの身代金をもってこいという要求があったので、財団から100万ドルを引き出した。
スーツ・ケースに詰めて犯人への受け渡しを、主人公のリボウスキに託したのだった。
しかし、実際にはスーツ・ケースは空で、主人公のリボウスキつまりデュードが猫ばばしたように見せかけて、実は本人が猫ばばしたというのである。

 亡奥さんの娘モード・リボウスキ(ジュリアン・ムーア)が登場したり、ドイツの政治ごろ崩れや、彼のボーリング仲間が登場したり、多彩な登場人物と、ファンタジックなシーンがあったりと、この映画は盛りだくさんである。
いろいろな人間がおり、人間にはいろいろな生き方があるというのが、この映画の主題らしいが、残念ながら画面からではなかなかそこまでは読めない。

 ボーリングを趣味とするリボウスキのことだから、ボーリングのシーンがたくさん出てくるのは当然である。
ボーリングの仲間であるウォルターやドニー(スティーヴ・ブシュミ)、対抗者であるジーザスなどキャラクターは面白い。
しかし、ボーリングは動きが直線的で、どうも映画的ではない。
それにボールを投げるシーンが、無言になってしまうのもコミカルではあるのだが、底が割れており白け気味だ。

 ロス・アンジェルスの夜景から入って、そこにナレーションがかぶり、最後のほうでナレーターが狂言廻しの人物となって、二・三度登場する。
これは不要だった。
筋とはまったく関係がなく、彼が登場しなくても、話は充分に分かる。
ボーリングのライバルであるジーザス・ウィンタナを演じたジョン・タートゥーロが、面白い味でよかった。

1997年のアメリカ映画。


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