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２００１年のドイツ映画「マーサの幸せレシピ」のリメイクである。 「マーサの幸せレシピ」を見てないのではっきりとは言えないが、内容的には、ほとんど同じように撮られているらしい。
ニューヨークのレストランで、ケイト（キャサリン・ゼタ＝ジョーンズ）はシェフをつとめる。 彼女は頑張って頑張って、やっとシェフの地位をつかんだ。 女性がここまで上ってくるのは大変だろう。 そのせいか、彼女は完璧主義者で、人間としての面白みが欠けていた。 そんな彼女のもとへ、姪のゾーイ（アビゲイル・ブレスリン）が越してくる。 姉の死によって、彼女は行き先がなくなったのだった。 母親の死によって傷心の彼女は、ケイトに心を開かなかった。 しかも、彼女が腕によりをかけて食事を作っても、ゾーイはまったく手を付けない。ケイトはほとほと困り果てる。 そんな時、２番シェフとして、ニック（アーロン・エッカート）が就職してくる。 完璧主義者のケイトは、他人が調理場を仕切るのが許せない。 そのため、なかなか馬が合わないが、ゾーイを仲立ちにして、２人は仲良くなる。 このあたりはお決まりのパターンで、映画としては凡作である。 まずケイトとニックは独身。ケイトの死んだ姉は、１人で子育てをしている。 アパートの階下に住むのは、離婚した男性だが、彼は２人の男の子と週末をおくっている。 最近のアメリカの家族事情を、見事に反映した映画である。 血縁の家族や核家族が、すでにその役割を終え、単家族化しているアメリカ。 「ミリオンダラー ベイビィ」がそうだったように、精神性にもとづいた新たな家族の形を求めて、アメリカ映画は家族の形を模索している。 この映画では、姪と叔母が新たな家族を作ろうとし、それをまったく赤の他人である男性が助けるものだ。 ガラスの天井に抑えられがちな女性。 それを跳ね返すべく頑張るうちに、知らず知らずに心に余裕のない頑張り屋になってしまう。 仕事を完璧にしようとする余り、恋人もできず寂しい週末を過ごす優秀な女性。 そうした女性たちに、男性をあてがってもダメ。 そこで逆らうことのできない子供の姪が登場する。 ニックはケイトの仕事を認めつつも、彼女のエゴに辟易する。 小さな姪であれば、しかも死んだ姉から託されたとあっては、女性のほうから心を開かざるをえない。 頑張りすぎによる精神的な狭さ、こうした境遇を通りこして始めて、女性たちはエスタブリッシュを形成していくのだろう。 頑張っている女性に、成人がお説教しても、拒絶反応だけだろう。 なにしろ彼女の廻りの成人は、ライバルだらけだったのだから。 ましてや男性はのりこえる壁でこそあれ、味方であるはずがない。 そんななか、子供だけは中性である。 しかも、子供に大人が逆らうことはできない。 男女が自立した今、子供も１人前である。 少なくとも、子供も自立して貰わなければ、単家族は機能しにくい。 子供の自立が、アメリカ映画の大きな主題だと言ってきたが、この映画でも、ケイトはゾーイを、１人前の人間として対応していた。 アメリカ映画には、カルキン兄弟をはじめとして、輝かしい子役の歴史がある。 「マイ ボディガード」のダコタ・ファニング、「シックスス・センス」のハーレイ・ジョエル・オスメントなどなど、みな上手い演技をする。 最近では達者な子役がますます増えてきた。 それも映画が子役を必要としているからだろう。 一見すると、ヒステリーのようなケイトだが、女性に暖かい映画と言うべきだろう。 ニューヨークでは、女性の地位が高くなったのだろう、と伺わせる映画である。 原題は「No Reservations」 ２００７年のアメリカ映画 （２００７．１０．１０） |
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