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「シカゴ」が当たったので、2匹目のドジョウをねらったのだろう。 しかも、主人公にダニエル・デイ=ルイスをもってきて、ウケをねらった。 皮肉なことに、女性陣は素晴らしかったが、ダニエル・デイ=ルイスは外れだった。 脚本はフェリーニの「8 1/2」に魅せられ、1/2を足したので「NINE」となったとか。
1964年のイタリアでの話。 若くして有名になった映画監督グイドは、最近作ではコケていた。 今度こそと満を持して、新作の撮影にはいるが、何もイメージがわかない。 この時代、脚本も監督が書くものだった。しかし、彼は1行も書けないのだ。 新作<イタリア>の撮影開始を発表してしまった。 悩むがアイディアは、まったくわいてこない。 かつて彼は、若い女優を侍らせた。 その中からルイザ(マリオン・コティヤール)を奥さんにしている。 妻とはひどく年齢が違う。 奥さんがいても、カルラ(ペネロペ・クルス)という愛人がいる。 ヴォーグの記者であるステファニー(ケイト・ハドソン)も迫ってくる。 艶聞は絶えないが、とにかくアイディアがわかない。 多くの女性を絡めながら、その悩みをえんえんと見せるのが、この映画である。 主題といえば、女にすがるダメ男だろう。 彼は子供の頃から、母親(ソフィア・ローレン)に大切にされ、マザコンになってしまった。 女性の愛情がないと生きていけないのだ。 しかも、次から次へと新たな女性に手をだし、満たされない自己愛の確認をしている。 たまたま最初の映画がヒットしたことから、女性たちも言い寄ってくるのだ。 舞台だった時には良かっただろうが、映画では成功しているとは言いがたい。 ヒロインがたくさん登場しすぎて、焦点が絞れずに散漫になってしまった。 ミュージカルだから、歌も踊りもあるのだが、群舞のため遠くにしか見えない。 ステージに櫓を建てて、その各段にダンサーを配置している。 達者なダンサーたちなのだろうが、主人公たちの動きと関連が薄いのだ。 舞台ならこうした構造にならざるを得ない。 しかし、映画のダンスは、「世界中がアイ ラヴ ユー」のように、少人数を密着して撮したほうが良い。 「シカゴ」ではせいぜい10人くらいのダンスしか見せなかったので、画面から迫力が伝わってきた。 遠くで踊っているのでは、上手いだろうダンサーたちが勿体ない。 60年代のファッションに身を包み、お洒落な色の組み合わせで、実にカッコイイのだ。 ダメな冴えない男を演じて、なかなかに良い雰囲気である。 しかし、ミュージカルが出来ない。 自分が踊らないのは良いとしても、ミュージカルの流れを切ってしまっている。 彼の姿が絵になっているだけに、とても残念である。 ミュージカルであることを除けば、彼にはアルファロメオのジュリエットがよく似合っていた。 冴えない中年、いや冴えない老人が、しょぼくれて歩く姿も、実にサマになっていた。 さすがに役者だと思わせる。 60年代は、男のファッション、女のファッションがはっきりしており、スタイルがあった。 「NINE」 2009年アメリカ映画 (2010.03.25) |
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