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| 女性から言い寄られたいと思うのは、私のようなもてない男性の夢か。 ちょっと変わった男の日常を、こうあったら良いだろうなと思わせる展開で、ややブラックな笑いで描いている。 実話を元にしているというが、どこが実話だか判らなかった。 なんと、ヘルシー・チョイス食品のプリンを買って、クーポンを集めた話が実話なのだと、見終わった後で判った。
まだ誰もいない早朝、がらんとした倉庫のようなところに、机が１つだけある。 バリー・イーガン（アダム・サンドラー）が電話をしている。 この始まりのシーンが、何か不思議な感じで、物語の始まりを予感させる。 電話の内容は、ヘルシー・チョイス食品に「クーポン券でくれるマイレージ特典が豪華すぎるのではないか」という質問である。 会社から問題ないという返事をうけると、彼はクーポン集めにスーパーへと奔走する。 ここら当たりがちょっと変わっているが、商売のほうも相棒のランス（ルイス・ガスマン）ときちんとこなしている。 まったく唐突の展開である。 そして、タクシーからオルガン（ハーモニウム）が棄てられる。 これも説明なし。 その直後、ピンクのセーターを着た女性リナ・レナード（エミリー・ワトソン）がやってくる。 「修理屋が開いたら、車を修理に出して欲しい」と頼まれる。 彼女と関係が始まるのは、このシーンで判ってしまう。 ここがちょっと興ざめである。 彼には姉が７人にて、女性に囲まれて育った。 そのため小さな時から、大変なプレッシャーをかけられてきた。 パーティに呼ばれて姉の家に行ったものの、彼がゲイだとからかわれ窓ガラスをハンマーで割った過去を、姉たちが蒸し返す。 そこでまたもや切れて、ガラスを割ってしまう。 バリーとリナの恋愛関係と、テレフォン・セックスの黒幕との話がからんで、物語は進行する。 ７人の姉から植え付けられた女性コンプレックス、大金を投じてのクーポン収集、テレフォン・セックスからの強請とその抗争、リナとの恋愛などなど、そのどれもが常識はずれである。 だいたい、よその家の写真を見て、そこに写っている男に興味を持って、早朝わざわざ車を預けに行ったりはしない。 リナはイーガン家のファミリー写真を見ただけで、バリーに惹かれて彼に言い寄ったというのだ！！！ こうなったら良いなと言う男性の願望が、画面にあふれている。 それはそれでいい。 しかし、リナとの恋でエネルギーが充填され、突然にスーパーマンになってしまうのも、ちょっと妙なご都合主義である。 リナとの恋愛からスーパーパワーが注入され、弱いはずの彼が強くなって、テレフォン・セックスの強請屋ディーン・トランベル（フィリップ・シーモア・ホフマン）との対決に勝ってしまう。 しかし、この監督は物語が作りきれないにもかかわらず、独特の雰囲気を持っている。 「ブギー ナイツ」「マグノリア」といい、秀作と言うには問題が多いが、それでも引きつけるものがあった。 この映画も強いて言えば、恋は勇気百倍が主題なのだろうけれど、今時そんな主題がストレートにとおりはしない。 にもかかわらず、特有の苦みが救っている。 前々作、前作と比べると、今回は映画としてのまとまりは良い。 前作は３時間を超えていたが、今回は登場人物が少ないせいもあってか、１時間半くらいに納まっている。 しかし、やや人気先行の監督である。 ２００２年アメリカ映画 |
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