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前作の「マトリックス」が大好評だったので、続編と続々編が製作され、今回は続編の公開である。 現実世界と虚の世界を繋ぐマトリックスを、電話回線で行ったり来たりする。 前作では、その設定だけではなく、物語がよって立つ細かいディテールに、見るべきものがあった。 しかし、続編の常として、観客受けをねらったせいでか、物語がずいぶんと薄められてしまった。
前作では、聖書や理論数学を下敷きにして、ギリシャ神話や不思議の国のアリスを引用して、独特の世界を作っていたが、今回は複雑な背景はほとんど感じられない。 また、予言者ヨハネ、裏切者ユダ、キリストの奇跡と死そして復活と、聖書をなぞったような展開はまったくない。 ネオ(キアヌ・リーブス)の自分探しが、大きなテーマだった前作と比べて、ネオの救世主性がひときわ拡大し、なんとネオはスーパーマンのように空を飛んでしまう。 ここまで行くと、物語の信憑性がなくなってしまう。 とりわけ黒のドカッティに乗るシーンは、オートバイのメカニカルな雰囲気と彼女が良く調和して、すこぶる魅力的な女性に仕上がっていた。 彼女はネオの援助者という役回りかも知れないが、彼女の魅力が彼女を自立した人間にしてしまうので、援助者というの地位では収まらなくなっていた。 ダイエットして登場したキアヌ・リーブスより、キャリー=アン・モスのほうが魅力的で、主役を食っていた。 ネオとトリニティとの恋愛関係が、強く打ち出されてきた。 しかし、ネオとの恋愛が強調されるのは、この映画には不釣り合いだろう。 キーマンを捜しに行った先で出会う女性パーセフォニー(モニカ・ベルッチ)の発言など、とても時代錯誤的で、男女の関係ではあきらかに時代が戻っている。 人物の性格設定がきめ細かさを欠き、常識に負っている分、大衆受けをねらったのだろうが、物語のスケールが縮んだ。 また、監督が自由に作っていたときは、映画の設定や展開に驚きがあったが、興行サイドの要求を入れたためだろうが、物語は平凡になってしまった。 しかし、ビジュアル的な意味では、ぐっと力が入っており、スタイリッシュな仕上がりは前作以上である。 また、意識してやっているのだろうが、ちょっと気になったのは、最新技術が使われてるなかに、ナイフ・スイッチのような旧式の部品がたくさん混じっている。 新旧の混在は決して悪くはないが、やや不自然な感じをもたせるのも事実である。 複雑な物語を楽しみにしていたので、単純なSFXになってしまったのはがっかりである。 カンフーシーンが多くて、アクションとしては気持ちいいのだが、あまりにもたくさんカンフーが登場して、いささが食傷である。 カンフーは血も出ないので、残酷性は少なく、スポーツを見るようだが、それも映画の一部であってこそ許される。 この映画では多すぎる。「スター・ウォーズ」と「ミッション インポッシブル」を足して、2で割ったような映画になってしまった。 2003年のアメリカ映画 |
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