タクミシネマ        スター・ウォーズエピソード1 ファントム・メナス

スター ウォーズ エピソード1   ジョージ・ルーカス監督

 16年ぶりのシリーズ4作目ということで、前宣伝が凄いスターウォーズを見てきた。
宣伝通りに、大変なお金がかかっている。
最後のタイトルには、SFXの技術者たちの名前がずらずらずらっと並び、沢山の人たちがこの映画に参加したことがよく判る。

スター・ウォーズ エピソード1 & 2
劇場パンフレットから

 ナブー人が貿易交渉のもつれから、通商連合から武力で侵略されて、ナブー人のアミダラ女王(ナタリー・ポートマン)は銀河系の会議場へ提訴する。
しかし、会議は彼女の提訴を取り上げず、彼女は自分の星へ帰って、実力で対置しようとする。
ナブー人の住む星には、ナブー以外にもグンガン人が海底に住んでいたが、ナブー人はグンガン人を馬鹿にしていた。
武力を持っていないナブー人は、事ここに至ってはそんなことは言ってはいられない。
ナブー人とグンガン人は協定を結ぶ。
この過程に、ジェダイと呼ばれるスーパーマン2人クワイ・ガン・ジン(リーアム・ニーソン)とその弟子のオビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)がかかわってくる。
2人の助力もあって、ナブー人は通商連合を打ち破って、めでたしめでたしである。

 筋としてははなはだ単純である。
その展開の中に、辺境の星で出会ったアナキン・スカイウォーカー(ジェイク・ロイド)少年が、ポッド・レーサーで活躍したり、宇宙基地を破壊したりと大活躍するが、彼はジェダイとなる訓練を受けるところで、映画は終わる。
しかし、彼のジェダイ訓練は、その後の彼の悪人化を暗示させていて、不気味な終わり方である。

 とにかく良く作り込んである。
物語としてはきわめて単純だが、キャラクターたちが丁寧に創造されて、それが実に自然に動いている。
人間の形をした生き物はともかくとして、宇宙人たちの姿形、機械仕掛けのロボットたちと、あれだけ創りだすのは、さぞ大変だったろうと思う。
映画はもともと共同作業の産物だが、この映画は大勢の人たちの共同作業であることは間違いない。
大変な作業に感心すると同時に、出てくるキャラクターを見ると、人間の想像力というのは、それほど現実から離れることはできないのだなと、妙に納得もしたりする。

 銀河系の会議場がおそらく国連を想定しているだろうと思われ、官僚と力の横行する現在の国連のサマを批判しているようだ。
また、アナキン少年が天才に描かれ、彼の出生は処女懐胎であり、キリストさながらだが、その彼が悪の帝王になると言う暗示は面白い。
ルーカス監督は東洋の本も読んでいるらしく、東洋的な雰囲気も感じる。
なかでも一番東洋的なのは、おそらく黒沢監督へ捧げたのだろうチャンバラのシーンである。
2人のジェダイが持つ光る棒は刀以外の何物でもなく、日本の時代劇映画をよく見ていることが伺える。
それ以外にも、登場するキャラクターに東洋的な物を感じる。

 キャラクターが良くできていることは賛同するが、その反面生きた人間たちの演技は散漫になっており、実写とSFXの合成はなかなか難しいようだ。
生きた人間たちは、多分いない相手を対象に演技し、それを合成しているのだろうと思う。
そのために、人間たちは演技がしづらいに違いない。
心理を演技するなどと言ったことは、この映画では期待しようがない。

 シリーズものとして展開するのであれば、16年もあけてしまうのはちょっと問題だろう。
前の作品を知っている人ばかりではなくなるし、もう前の作品を忘れてしまってもいる。
シリーズ化するのなら、5年くらいで次作を発表して欲しい。
「The phantom menace」幻の脅迫というサブタイトルが付いており、単純ではあるが壮大な物語ではある。 

1999年のアメリカ映画 


TAKUMI シネマ>のおすすめ映画
2009年−私の中のあなたフロスト/ニクソン
2008年−ダーク ナイトバンテージ・ポイント
2007年−告発のときそれでもボクはやってない
2006年−家族の誕生V フォー・ヴァンデッタ
2005年−シリアナ
2004年−アイ、 ロボットヴェラ・ドレイクミリオンダラー ベイビィ
2003年−オールド・ボーイ16歳の合衆国
2002年−エデンより彼方にシカゴしあわせな孤独ホワイト オランダーフォーン・ブース
      マイノリティ リポート
2001年−ゴースト ワールド少林サッカー
2000年−アメリカン サイコ鬼が来た!ガールファイトクイルズ
1999年−アメリカン ビューティ暗い日曜日ツインフォールズアイダホファイト クラブ
      マトリックスマルコヴィッチの穴
1998年−イフ オンリーイースト・ウエストザ トゥルーマン ショーハピネス
1997年−オープン ユア アイズグッド ウィル ハンティングクワトロ ディアス
      チェイシング エイミーフェイクヘンリー・フールラリー フリント
1996年−この森で、天使はバスを降りたジャックバードケージもののけ姫
1995年以前−ゲット ショーティシャインセヴントントンの夏休みミュート ウィットネス
      リーヴィング ラスヴェガス

「タクミ シネマ」のトップに戻る