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 ミッション インポッシブル
 
 ブライアン・デ・パルマ監督 

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ミッション:インポッシブル [DVD]
 はちゃめちゃな映画だが、実に楽しませる。
芸術性とか思想性など、まったくない。純粋な娯楽映画である。

 CIAのスパイたち男三人女二人に対して、どこかのデーターを盗むよう指令がでる。
場所はプラハである。
それぞれ分担を決めて、任務にはいるが、じつは内部にいる逆スパイをあぶりだす計画だった。
それがどう間違ったのか、リーダーが裏切って、トム・クルーズはCIAから追われる身となる。

 筋がやっかいで、最初からCIAの計画だったのか、リーダーの個人的な裏切りだったかわかりにくい。
とにかく、この計画ではトム・クルーズ以外の全員が死ぬことになるが、本当に死ぬのは男女各一人だけ。
リーダーは自分も殺されたようにみせながら、隠れて生きている。

 計画が失敗に終わって、女性がアジトへ戻ってくるが、これがリーダーの奥さんである。
結局、リーダーとこの奥さんの女性が裏切ったことがあとで判る。

 これから先が判らなくなるのだが、NOCなるスパイ名簿を、敵側に売る計画を実行する。
仲間の女性が裏切ったと気づいてないトム・クルーズは、彼女と助っ人に雇った二人の男と計四人で、CIA本部のデーターを盗みにはいる。

 CIA本部のデーター管理は厳重を極め、そこへたどりつくのが、この映画の見せどころの一つである。
厳重な警備をかいくぐって、データーを盗み出し敵側に渡す。
ここからTGVのなか、屋根の上と大変なシーンの連続である。
筋を説明するのは困難なのだが、ご都合主義的な出合いが多く、いい脚本だとは思えない。
しかし、それを度外視しても、何か引き付けるおもしろさがこの映画にはある。

 この映画がおもしろい理由は、まずテンポの良さ。
短い台詞が、畳み掛けるように続く。
そして、カット割がすばやく展開していって、こちらの予測を先どって話が進んでいく。
観客の予測を先どる、たぶん、これがこの映画のおもしろさの一番の原因だろう。

 次に、音楽とのマッチングの良さ。小気味良い音楽が、実に軽快にはいる。
また、ワイヤレスマイク、眼鏡に仕込んだカメラなどの仕掛のおもしろさが、観客が劇中の人物になったような気にさせてくれる。
やや暗くとらえたプラハの街の映像が美しい。

 大きな仕掛が三ヶ所ある。
レストランの水槽が割れて水が流れるシーン。
CIAのデーター室への潜入シーン。
TGVの屋根でのシーン。
しかし、大仕掛なシーンだからおもしろいのかというと、それは違う。
大きな仕掛であろうとなかろうと、観客を引き込めばいいのであって、仕掛の大きさはあまり関係ない。
だから、水槽が割れるシーンなど、一瞬で終わるものは、苦労の割には案外その価値がない。

 大変なお金がかかっている映画だ。
お金をかけて、つまらなくなってしまう映画もあるなかで、充分に楽しめて感心させられた。
おもしろくつくろうとして、おもしろくできたこの映画のおもしろさは、よく考えてみる価値がある。
芸術とか思想性とかの理由で、難しい顔をして耐えながら見る映画、そんなものは本当は駄作である。
1996年アメリカ映画。


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