タクミシネマ        オースティン・パワーズデラックス

オースティン パワーズ:デラックス  ジェイ・ローチ監督

 「オースティン パワーズ」の続編で、マイク・マイヤーズが扮するスパイ映画である。
もちろん前作と同様に、007のパロディであり、世界の征服を狙う悪役ドクター イーヴルも彼が一人二役で扮している。
多くの場合、続編の方がつまらないのだが、これに関しては続編の方が面白かった。

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前宣伝のビラから

 冒頭のテロップから、「スター ウオーズ エピソード1」のパロディである。
パロディと言えば聞こえは良いが、実際はまったくのパクリである。
パクラれるほうは名誉かもしれないが、内心穏やかではないだろう。
パクラれるほうがすでに名声を確立していればいいが、「スター ウオーズ エピソード1」とこの映画は同じ時期に公開されている事を思うと、少し複雑な心境になる。
上手くパクってくれれば、おしゃれな感じだが、パクルというのは所詮物まねだから、品のないことである。

 上手くパクルには、それなりのセンスが必要ではあるが、オリジナルを創るエネルギーに比べたら容易いことだろう。
オリジナルを創ることの困難さを知れば、オリジナルを創った人間の憤りも理解できる。
音楽の世界でサンプリングするときは、原作者に著作権料を払うのだろうが、映画の場合はどうなんだろうか?

 この映画を社会的に論評するのは、あまり意味がないと思うが、それでも設定が60年代と現代を行ったり来たりするのは、やはり60年代に何かあるのではないだろうか。
今から見ると、70年代80年代は特長のない時代で、60年代こそ活気にあふれ、新しいものが生まれていたと思えるのかも知れない。
多くのコメディが60年代に作られ、今のコメディがそれらに負っていることは、当たらずとも遠からずに違いない。

 ティム・ロビンスが、ケネディ大統領に扮していたが、実に楽しそうに演じていた。
隣人は静かに笑う」「ショーシャンクの空に」「ザ・プレイヤー」など、彼の演技力には一目置いていたが、余裕の演技は貫禄でもあった。
また、ウッディ・ハレルソンもでており、マイク・マイヤーズと友達なのだろうが、コメディ映画にでるのはどんな役者でも楽しいに違いない。
この映画に限らず、有名な俳優がちょい役で出ていることがある。

 ヒロインのシャグウェルを演じたへザー・グラハムは抜群のスタイルなのに、なぜか歯並びが悪く、今時のハリウッド女優としては不思議だった。
マイク・マイヤーズは悪い歯並びが売り物だから、あまり歯並びの良い女優では困ったのかも知れない。 

1999年のアメリカ映画


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