タクミシネマ        アルマゲドン

アルマゲドン         マイケル・ベイ監督

TAKUMI−アマゾンで購入する
アルマゲドン [DVD]

 テキサス州位もある大きな隕石が、地球めがけてものすごい早さで向かっている。
このままいけば、あと18日で地球に衝突する。
隕石めがけて原爆を発射しても、表面で爆発しただけで、隕石の軌道には何の影響も与えない。
そこでこの隕石に行って、隕石の地表から240メートル掘ってから原爆を仕掛ければ、隕石は二つに割れて地球をそれると計算がでた。
さあ誰がその仕事しに行くかである。

 地球に穴を掘る、つまり油田の開発では天才と言われるハリー(ブルース・ウィリス)にその役が回ってくる。
当初は、宇宙飛行士に掘削の訓練をして、彼等を宇宙へ送る計画だった。
しかし、短期間の訓練では掘削は不可能だとして、それでは受けられないと彼は言う。
そこで彼の部下を連れていって、彼自身が掘削することになる。
彼の部下とは下品な荒くれ男たちで、とてもNASAのお偉方の目にはかなわない。
しかし、それを押し切って決行。
二台のスペースシャトル、フリーダムとインディペンデスに乗り込んで、彼等は隕石へ向かう。

 隕石への途中、宇宙ステーションで給油してと言うのは、芸が細かい。
しかもそれがロシアのもので、ロシア人がたった独りで、10年間も住んでいるのだ。
ロシア製だから、旧式で陳腐化しており、案の定、給油の途中で爆発。
危うくそれから逃れて、一路隕石へ。
二台のうちインディペンデンスは隕石への着地に失敗して炎上。
うち三人が生き残る。

 フリーダムは任務を遂行するが、穴掘り機械が壊れ、任務は絶望となる。
あわやと言うときに、三人が運転するもう一台が現れて無事穴は堀終える。
しかし今度は、原爆の起動リモートスイッチが故障し、誰かが残って爆発させなければならなくなる。もちろん、当人は死ぬ。
籤でその任務にあたったのはaj(ベン・アフレックス)だったが、我が子同様にかわいがっていたハリーは、それを彼から奪って自分が犠牲になる。

 最後は目出度し目出度しだが、どうも後味の悪い映画だった。
まず、地球の危機を救うために宇宙へと言う設定は、宇宙戦艦大和である。
こんな個人的なヒロイックな話は、現代的ではない。
いかにも男たちのマッキズム嗜好である。
それに話が全くのご都合主義的な展開で、ロシアの宇宙船といい、隕石の地表と言い、簡単に展開しすぎる。
SFXの特撮はすごいとしても、また大金をかけたのは凄いとしても、映画としては及第点にはまったく届かない。

 地球の危機はアメリカの危機であり、「インディペンデンス・デイ」と同様に、それを救うのはアメリカ以外には最初から眼中にない。
確かに今のアメリカに拮抗できる国はもはやない。
しかし、いくらソ連の崩壊があったとしても、アメリカは力の対象を宇宙へと向けるのが、慢心につながらなければいいが。
ちょっとアメリカの独りよがりを感じる。

 やはりなと思うのは、ハリーの家族はハリーの娘(リブ・タイラー)しか登場せず、父と娘の愛情がこれでもかと繰り広げられる。
このあたりも、男たちのやせ我慢だと感じる。
現実には、母子家庭がほとんどだというのに、男親も子育てができるんだぞ、空威張りしているようだ。
コンタクト」でもそうだったように、宇宙映画となると男親と娘というコンビが好まれる。
その理由も判る。
現実的な話だと、炊事洗濯と言った父子家庭の不自然さが目立つが、多くの人がたった一人のヒーローを支える宇宙ものでは、父子家庭の不自然さが無視できるからだろう。
日常生活では、雑事が占める割合が大きくて、ヒロイックな場面は少ないから。
1998年アメリカ映画。


TAKUMI シネマ>のおすすめ映画
2009年−私の中のあなたフロスト/ニクソン
2008年−ダーク ナイトバンテージ・ポイント
2007年−告発のときそれでもボクはやってない
2006年−家族の誕生V フォー・ヴァンデッタ
2005年−シリアナ
2004年−アイ、 ロボットヴェラ・ドレイクミリオンダラー ベイビィ
2003年−オールド・ボーイ16歳の合衆国
2002年−エデンより彼方にシカゴしあわせな孤独ホワイト オランダーフォーン・ブース
      マイノリティ リポート
2001年−ゴースト ワールド少林サッカー
2000年−アメリカン サイコ鬼が来た!ガールファイトクイルズ
1999年−アメリカン ビューティ暗い日曜日ツインフォールズアイダホファイト クラブ
      マトリックスマルコヴィッチの穴
1998年−イフ オンリーイースト・ウエストザ トゥルーマン ショーハピネス
1997年−オープン ユア アイズグッド ウィル ハンティングクワトロ ディアス
      チェイシング エイミーフェイクヘンリー・フールラリー フリント
1996年−この森で、天使はバスを降りたジャックバードケージもののけ姫
1995年以前−ゲット ショーティシャインセヴントントンの夏休みミュート ウィットネス
      リーヴィング ラスヴェガス

 「タクミ シネマ」のトップに戻る