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とにかく天才はいる。 その一言に尽きる。 デヴィッド・フィンチャーが監督だと聞いて、期待して行ったけど、平凡な作品でやや期待はずれである。 50歳に近づいた監督は、創造の泉が枯渇し始めたのだろうか。
ハーバードは超エリートの集まる大学である。 Harvard .edu のアドレスは、若者の憧れの的だった。 とくに女の子たちは、将来の伴侶を見つけようと、必死にハーバードの学生にアプローチしていた。 2年生のマーク(ジェシー・アイゼンバーグ)は、エリカ(ルーニー・マーラ)というガールフレンドがいた。 彼女はハーバードではなく、ボストン大学である。 彼女もハーバード・グルーピーだと見ていた彼は、蔑視したわけではないが、ちょっと小馬鹿にした発言をする。 切れたエリカとは絶交になってしまった。 女性に振られてムシャクシャした彼は、ハーバードの寮の名簿をハッキング。 女子学生たちの写真を並べてランク付けするサイトをつくった。 これが2時間で22,000アクセスをかせいだ。 学生のあいだで、たちまち有名人になった。 資産家の家に育ったボート部の双子ウィンクルボス兄弟は、<ハーバードコネクション>というサイトをつくりたかったが、彼等はプログラムが書けなかった。 そこでマークをスカウトした。 しかし、マークはエドゥアルド・サベリン(アンドリュー・ガーフィールド)とで、自分たちのサイト<フェイスブック>を立ち上げてしまった。 しかも、思ったことや言いにくい事実をズケズケという。 根回しなど、天才には判らない。 思い立ったら吉日で行動する。 そのため、敵が多くなる。 それは当然だろう。 天才はいる。 凡人が足を引っ張るのだ。 登場人物はハーバードの学生たちだから、みんな優秀だろう。 しかし、ネットのプログラムに関しては、マークは図抜けていた。 しかも、着想も良かった。 <ナップスター>を作ったショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)と意気投合するが、ここがちょっと勇み足だった。 ウィンクルボス兄弟からアイデアを盗用されたと訴訟をおこされたが、これは問題外である。 あの程度ならイチャモンに近い。 今後の対策のために示談に応じて、これはお終いになる。 しかし、共同創業者だったエドゥアルドの訴訟には、そうはいかなかった。 エドゥアルドとは友達として、一緒に設立したのだ。 エドゥアルドとは今でも友達のつもりである。 ショーン・パーカーに引っかき回されているうちに、友達を見失ってしまった。 マークは決して友達を陥れようなどとはしていなかった。 ネットの早さにエドゥアルドが付いてこれなくなったのだ。 しかし、それでも友達は友達である。 なにしろアルゴリズムを書いたのは彼なのだ。 20歳そこそこの若者たちが、ネット会社を立てるのだ。 ネットとリアル社会の接点を見失うのも、無理もないだろう。 しかし、若者たちの行動力は、見ていて本当にほれぼれする。 グーグルも若者が立ち上げた。 グルーポンも、フェイスブックも、みな若者たちの仕事だ。 映画のなかでも言及されていたが、<ナップスター>は裁判には負けたけど、音楽業界を根底から変えてしまった。 いまやクラウドから無料で音楽を聴く時代である。 天才が時代を切りひらいていく。 しかし、天才は時代に受け入れられるとはかぎらない。 <ナップスター>は少し早すぎたのだ。 著作権など大企業や既存組織を守るだけで、新規参入の障害である。 古いマイクロソフトは閉鎖的だ。 ビル・ゲイツは古い時代の人間で、商売が上手かったに過ぎない。 これからもITをつかった商売が生まれるだろう。 マークは天才が生き易い時代に生まれている。 もし、あと10年早かったら、たんに嫌な奴で終わっていただろう。 アイディアとITが使えること。 これさえあれば、人々は大歓迎するのだ。 残念ながら、ボクなど老人になってしまい、アイディアとIT能力の両方ともない。 ちょっと気になったのは、女性には天才が出ないのだろうか。 まだ目立たないだけで、すでに登場しているのだろうか。 それにしてはオタクの女性が少ないように思うのだが…。 余談ながら、ジャスティン・ティンバーレイクって、あんな顔をしていたのかと知った。 ショーン・パーカーの生き方と重なって、ふーんと納得した。 原題は「THE SOCIAL NETWORK」 2010年アメリカ映画 (2011.1.18) |
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