タクミシネマ               クレージー・ハート

クレージー・ハート
スコット・クーパー監督

 かつて一世を風靡したカントリー・シンガーのバッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)。
いまやドサ廻りで何とか食いつないでいた。
すでにアル中で彼の身体はガタガタ。
しかもヘビー・スモーカーである。
典型的な落ちぶれである。

Still of Jeff Bridges and Maggie Gyllenhaal in Crazy Heart
IMDBから

 サンタフェのバーにいったときのこと、地元のバック・バンドのピアニストであるウェズリー(リック・ダイアル)から、姪のジーン・クラドック(マギー・ギレンホール)のインタビューを受けてくれないかと言われる。

 栄光の昔日を思い出して、気安く引き受ける。
いまでも女性には不自由しない彼だったが、ジーンにはぞっこん惚れ込んでしまった。
彼女はバツイチのシングル・マザーで、メジャーの新聞記者への夢をもっていた。
各地を演奏してまわる彼だったが、何とか彼女との時間を作って、親子共々いい関係になる。

 ヒューストンに住む彼は、休暇が取れたというジーンと息子のバディを、よろこんで自宅に招待する。
バディの前では、酒を飲まないでくれと言われたにもかかわらず、約束が守れない。
バディと町を見物中に、彼は酒を飲んでしまう。
その間に、バディが迷子になってしまう。

 たちまちジーンの怒りにふれて、関係は断絶となる。
彼は断酒会に入って、ジーンとの関係を戻そうとする。
しかし、2人の関係は、もはや戻らなかった。

 弟子トミー・スウィート(コリン・ファレル)に曲を提供する。
すると、これが大当たり。
彼には栄光が戻ってくる。
トミーのコンサートにジーンが表れ、再婚したことを告げる。


 ただこれだけの映画である。
ジェフ・ブリッジスが自分でカントリー・ソングを歌う。
これが結構上手い。
しかし、我々にはどの曲も同じように聞こえる。
アメリカ人たちは感動しながら聞いていたから、違いが分かるのだろう。
また、カントリーも人気があり、やんやの喝采を受けていた。

 人気者のトミーのショーには、万単位の観客が詰めていた。
だから、日本の歌謡曲のような扱いなのだろう。
それぞれの曲の違いも、きちんと認識されているに違いない。
振り返ってみると、我が国の歌謡曲も外国人が聞くと、みな同じように聞こえるかもしれない。

 ジェフ・ブリッジスはけっして下手な役者ではないが、なんだかワンパターンの演技である。
この映画でオスカーを取ったほどだから、カントリー関係者はああした雰囲気かもしれないが、何だかしっくりとこなかった。

 ヒロインをつとめたマギー・ギレンホールは、もっと上手い役者かと思っていた。
しかし、一本調子の演技だった。
マイ ブラザー」でジェイク・ギレンホールを見た直後だったので、不思議な感じだった。
お金のかかっていない映画だが、それはまったく気にならなかった。

 「CRAZY HEART」
 2009年アメリカ映画 
(2010.07.2)


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