タクミシネマ                 プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂

プリンス・オブ・ペルシャ  時間の砂
マイク・ニューウェル監督

 おとぎ話のような映画で、魔法の短剣によって、時間が戻ってしまう。
ここがミソと言えばミソなのだが、平凡な話で、退屈な映画だった。

Still of Jake Gyllenhaal and Ronald Pickup in Prince of Persia: The Sands of Time
IMDBから

 古代ペルシャという設定である。
貧しい少年ダスタンは王様の気まぐれで、突然に王子になってしまう。
彼の勇気を見そめた王様が、彼を養子にしたのだ。
まずこんなことはないだろうに、とにかく彼は王子様になったのだ。
後は想像がつくだろう。

 兄となる血縁の王子も2人いる。
3人兄弟で育つが、叔父のニザム(ベン・キングズレー)が絡んだ、王位継承争いに巻き込まれる。
おきまりのコースで、勇者に成長した王子ダスタン(ジェイク・ギレンホール)は、聖なる都アラムートの征服にでかけ、神に仕えるタミーナ(ジェマ・アータートン)と巡り会う。

 ダスタンが父王にアラムートの法衣を贈ると、その法衣の裏には毒が塗ってあり、王は死んでしまう。
たちまち父親殺しで糾弾される。
タミーナともども、辛うじて脱出し、砂漠に逃れる。
ダスタンは征服の途中で、聖なる都アラムートの至宝である短剣を手に入れる。
彼が手にした短剣は、時間の砂が入っていた。
時間の砂を使うと、時を戻し、過去を変えることができる。


 最後には、ニザムが王を暗殺したことがわかる。
ダスタンとタミーナが結ばれて、目出度し目出度しである。
大雑把な展開で、しかも結末が判ってしまっているので、いささか興ざめである。
絶世の美女というタミーナだったが、スタイルこそ良いものの、それほどの美人ではなかった。

 今後、美人の設定は難しくなる。
美人そのものの基準が変わっていることもあるが、美人である必然性が薄くなっている。
アリス・イン・ワンダーランド」で、赤の女王役だったヘレナ・ボナム=カーターはブスいが、彼女のほうが魅力があったりする。

 時間と記憶を扱うと、とたんに映画が難しくなる。
そして、いくらでもご都合主義の展開をつくることができるようになる。
この映画でも、時間を戻しているので、どんな設定でも可能である。
1分くらい戻すのを何度か見せ、最後には大きく何日も戻してみせる。
これでは、1年戻せば、話がなくなってしまうだろう。
 「PRINCE OF PERSIA: THE SANDS OF TIME」
 2010年アメリカ映画 
(2010.06.4)

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