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鳴り物入りで宣伝された3D映画である。 3時間と長いし、入場料も高いので、やや敬遠気味だった。 公開されて2ヶ月たち、やっと見に行った。 しかし、公開2ヶ月もたったとは思えないほど、映画館は混んでいた。
22世紀、地球から遠く離れたパンドラに、アメリカは進出していた。 自然の宝庫であるパンドラには、先住民族のナヴィが暮らしていた。 アメリカ人たちは、アメリカ大陸を植民した白人のように、パンドラに住むナヴィたちを無視して、あたかもインディアンを扱うような傍若無人な振る舞いだった。 パンドラは空気が薄くて、人間は長く行動できない。 そこで人間のDNAをもつアバターをつくった。 それはナヴィの身体をしており、人間が乗り移ることができた。 元海兵隊員で下半身不随になったジェイク(サム・ワーシントン)は、兄の身代わりになることによって、アバターに乗り移ることができようになった。 そんななか、ナヴィの族長の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と仲良くなる。 こう書いてくれば、もう話は見えるだろう。 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」と同じ展開である。 ナヴィの住む地域にある鉱物をねらう人間たちは、ナヴィを武力で制圧をはじめる。 ナヴィと人間のあいだに挟まれて、ジェイクは最初のうちこそ困惑していたが、とうとうナヴィ側に立って闘うことになる。 話の骨組みは、未開地開拓の懺悔である。 それに環境保護をくわえて、宮崎駿で味付けした感じである。 木の霊とか宮崎アニメそっくりだが、3D表現がとてもきれいに見せている。 この映画の場合、主題については、特別に言うことはない。 殺してしまったインディアンへの懺悔とか、破壊した自然へのオマージュとか、と言うだけである。 アバターを創りだした科学者のグレイス(シガニー・ウィーヴァー)が、ナヴィを人間として見ておらず、新種への好奇心しかない。 そんなニヒリズムが戦争へ繋がるのに、グレイスが無自覚であるのは疑問が残る。 この映画で特筆すべきは、主題より眼鏡をかけてみる立体画面であろう。 立体的な画面は、とても自然で美しい。 パンドラの自然も、宮崎アニメの影響をこそ感じるが、立体感をともなった色彩は、一見の価値がある。 登場する動物や植物など、想像力がおおきく広がっている。 新しいキャラクターをつくるのに、苦労したことが隅々から伝わってくる。 それに対して、軍隊の金属的な冷たさが、じつに上手く対比されている。 また、車椅子のジェイクだが、彼の足が異様に細い。本物の障害者のようだ。 おそらく椅子に細工したか、CGでの合成だろうが、細かいところまで神経が届いている。 「ガールファイト」で強烈な目力を見せたミシェル・ロドリゲスが、独特のキャラクターに育ってきた。 今回の戦闘機乗りは、鼻っ柱が強くて正義感が強く、肉体派の彼女にはまり役だった。 アンジェリーナ・ジョリーなど肉体派女優が、大きな力を持ちはじめたアメリカ映画で、今後楽しみな存在である。 3Dのすごさは認めるが、この監督は「タイタニック」といい、主題のない人なのだと思う。 それでも、これだけヒットすれば、文句の付けようがないということだろう。 「AVATAR」 2009年アメリカ映画 (2010.02.24) |
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