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タイタニック       ジェームス・キャメロン監督

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 1912年に処女航海で、氷山にぶつかって沈没したタイタニックを舞台にしたラヴ・ストーリーである。
舞台になっている豪華客船があまりにも有名で、それをほぼ原寸大に復元したから、どうしても舞台装置のほうに感心がいってしまう。
ジェームス・キャメロン監督は、大勢の人を動き回らせるのが得意で、時代考証に基づいた壮大な映画に仕上げている。

 沈没したタイタニックから財宝を発見すべく、ブロック(ビル・パクストン)は潜水艦で調査している。
それを知った老女ローズ(グロリア・スチュワート)が、ヘリコプターでブロックに会いに来る。
彼女はかつてタイタニックの乗客だった。彼女の回想で映画は展開する。

 没落した貴族の娘ローズ(ケイト・ウインスレット)が、成金のアメリカ人実業家の奥さんになるので、フィアンセや母親と一緒にタイタニックに乗ってアメリカに渡る。
その船には、ジャック(レオナルド・ディカップリオ)が波止場のポーカーに勝って乗船券をせしめ、出発直前にかろうじて滑り込んでくる。
彼が、ローズを見初めて恋い心を抱くが、所詮一等船客と、三等船客。
かなわぬ恋だったが、ローズの自殺未遂から、二人は縁ができて、恋に落ちる。

 フィアンセは嫉妬に狂い、母親はこの結婚がご破算になれば、生活が立ちゆかなくなるので、ジャックとローズの二人を離そうとする。
ローズは、いわば人身御供として、好きでもない人に嫁ぐのである。
階級が崩れ始めていた今世紀の初め、階級を越えた二人の恋愛騒動が、水浸し沈没する船を舞台に展開する。
恋愛劇自体は平凡で、どうってことはない。

 沈没する船に立ち会ったとき、人はどういった行動をとるのかは興味深い。
乗客乗員合計2、200余人が乗っていたが、救命ボートは全員分はない。
乗り切れないことが判ったとき、毅然とその運命を甘受する男の姿は、古いと言われても魅力を感じる。
また、沈没する船上で室内楽を演奏し続ける楽士が、同僚に今夜諸君と演奏できたことは幸せだったとの言葉にも感激した。

 プログラムによれば、救助された者は、
     女性・子供    男性   合計
一等船客   94%    31%   60%
二等船客   81%    10%   44%
三等船客   47%    14%   25%
乗務員     87%    22%   24%

である。階級の上の方が助かっている。
また、女性のほうが圧倒的に助かっている。
映画でも、救命ボートへ女性と子供を優先的に乗せていた。

階級が崩壊した今、フェミニズムを知った女性たちは、今後男性と同じように対応されることを選ぶのだろう。
情報社会になったばっかりに、肉体的には非力である女性が、男性と同じ運命を甘受せねばならないとは、何か痛々しい感じがする。

 3時間14分と長い映画で、二時間半くらいにつめた方がいい。
潜水艦での調査場面、沈没の阿鼻叫喚シーンは、もっと短くした方がいい。
特に悲劇的な場面は、それほど見せる必要はない。
セットにお金がかかっているので、どうしてもそれに引きずられて、物語の原則を逸脱しがちである。
お皿が割れるシーンや海上に漂う死者たちを見せられても、物語の筋には関係ない。
原題は「Titanic」1997年アメリカ映画


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