タクミシネマ      クリーン

クリーン  オリビエ・アサイヤス監督

 子供への思いのために、麻薬を断つのがテーマである。
子供への愛情だけで、麻薬が止められるなら、こんな楽な話はない。
嘘だろう、と思ってしまう。

Still of Maggie Cheung in Clean
IMDBから

 ロックスターのリーは、すでに41歳。
それなりに人気はあるが、イマイチぱっとしない。
マネージャーは売り込みに懸命だが、リーは妻のエミリー(マギー・チャン)と一緒に麻薬をやっている。
エミリーはリーと喧嘩して、家出した。
戻ってみると、リーはオーバードーズで死んでいた。

 ここからがこの映画の本題である。
彼女に殺人の疑いがかかる。
しかし、アリバイが証明されて、麻薬所持の罪だけになる。
6ヶ月の収監後、出所してからの話が中心である。


 リーの出身地ヴァンクーバーには、両親が孫と一緒に住んでいる。
エミリーはロンドンと、パリを行きつ、生活を何とか立てなおそうと躍起になる。

 リーの母親が余命いくばくもなく、ロンドンの病院にいる。
父親は孫をつれて、エミリーに会いにパリに来る。
子供と会った彼女は、麻薬とえんぎって、健全な生き方を誓う。
しかし、話がご都合主義に過ぎる。

 麻薬を止める話は、通俗的な正義感が勝っているので、映画としておもしろくつくるのが難しい。
ザ バスケットボール ダイアリー」という映画があったが、ディカプリオの演技をもってしても詰まらなかった。

 麻薬を止めるのは、文部省推薦映画になってしまうので、表現として成り立ちにくいのだ。
通俗的な正義は、それだけで表現とは相容れない。
マギー・チャンは、英語、フランス語、広東語を完璧に話し、達者ではあるが、演技に深みがない。

原題は「Clean」
2004年仏、英、カナダ映画

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