タクミシネマ     ブッシュ

ブッシュ   オリバー・ストーン監督

 「アメリカン プレジデント」など、アメリカの大統領物はたくさんつくられている。
しかし、久しぶりにつまらない映画を見た。
なぜこんなにつまらないのだろうか。
途中でダレてきてしまい、スクリーンに集中するのが大変だった。
それと画面の色が少し変で、盗撮注意の宣伝もおかしな色だった。
これは「角川シネマ新宿」に固有の現象じゃないだろうか。

IMDBから

 ジョージ・W・ブッシュ、ご存じのとおり最低の大統領である。
クリントン前大統領から、大黒字の国家財政を引き継ぎながら、真っ赤にしてしまった大統領である。
そして、もちろん自分で始めた戦争を、終わらせることができない大統領である。
なぜ、こんなダメ男が、アメリカの大統領になれたのか。

 監督は、その理由を宗教と政治の一致にみる。
もともと賢い男ではなかった。
何をやっても長続きしないし、アル中だったし、それでも大学に行く程度の能力はあった。
しかし、何よりも彼の特技は、人に好かれる資質だったのだろう。
アメリカの大統領は人気稼業である。
テキサスの知事にも当選したし、大衆的な人気を得るたぐいまれな資質を持っていたのだろう。
大統領になれとの、神のお告げがあったから、大統領に立候補したとか!


 ブッシュが大統領になり、副大統領などを交えてした会議の最後には、きまってお祈りがある。
額のまえで両手を組んで、目をつむり、全員が神に祈るのである。
しかも、その音頭をとっているのは、誰あろうブッシュである。
アメリカには信仰の自由があるはずだが、閣僚たちにも祈らせるのは、いったい何なのだ。

 フセインはイスラムだろうから、彼は彼なりに祈っているはずである。
そして、海を隔ててアメリカでは、ブッシュがやはり神に祈っている。
それを考えると、まるで漫画である。
かたやキリストに祈り、かたやアラーに祈っている。
これで近代戦が闘われたのだ。
なにをか言わんやである。

 この映画も、おそらく神頼みを批判したかったのだろう。
それは何となく判るが、メリハリがないのだ。
やはり2時間をもたせるとなると、起承転結というか物語の山を作ってもらわないと、見るほうは飽きてしまう。
この映画は、ただ説明的なシーンが、細切れに続いており、しかも、時間が前後するので散漫になってしまうのだ。

 この監督は、「JFK」や「ニクソン」など、歴代の大統領を映画化しているが、大統領物の連作のつもりだったのだろうか。
「7月4日に生まれて」等を撮っているところを見ると、反戦派だと思うが、いささか焦点が定まってないように感じる。
顔のアップがおおく、それが意味をもってない。

 原題は「W.」である。
2008年アメリカ映画

TAKUMI シネマ>のおすすめ映画
2009年−私の中のあなたフロスト/ニクソン
2008年−ダーク ナイトバンテージ・ポイント
2007年−告発のときそれでもボクはやってない
2006年−家族の誕生V フォー・ヴァンデッタ
2005年−シリアナ
2004年−アイ、 ロボットヴェラ・ドレイクミリオンダラー ベイビィ
2003年−オールド・ボーイ16歳の合衆国
2002年−エデンより彼方にシカゴしあわせな孤独ホワイト オランダーフォーン・ブース
      マイノリティ リポート
2001年−ゴースト ワールド少林サッカー
2000年−アメリカン サイコ鬼が来た!ガールファイトクイルズ
1999年−アメリカン ビューティ暗い日曜日ツインフォールズアイダホファイト クラブ
      マトリックスマルコヴィッチの穴
1998年−イフ オンリーイースト・ウエストザ トゥルーマン ショーハピネス
1997年−オープン ユア アイズグッド ウィル ハンティングクワトロ ディアス
      チェイシング エイミーフェイクヘンリー・フールラリー フリント
1996年−この森で、天使はバスを降りたジャックバードケージもののけ姫
1995年以前−ゲット ショーティシャインセヴントントンの夏休みミュート ウィットネス
      リーヴィング ラスヴェガス

 「タクミ シネマ」のトップに戻る