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若い監督が、渾身の力を込めて撮った映画だろう。 監督はメキシコ人だというが、ルイス・ブニュエルを思い出すまでもなく、スペイン語圏からは「オープン ユア アイズ」など、ときどき超観念的な映画がうまれる。 そういえばルイス・ブニュエルは、スペインで生まれメキシコに逃げたんだっけ。 少しは縁があるのだろうか。
まさにインディといった映画で、場面のほとんどが、アパートの室内で撮影されている。 しかし、少しも窮屈な感じはなく、平凡な日常から登場人物たちの、精神の内面へと至る描写は、奇妙なユーモア感がある。 登場人物は4人と、いたって少なく、実に安上がりな映画である。 メキシコ版「マクマレン兄弟」といったところだろうか。 フラマ(ダニエル・ミランダ)とモコ(ディエゴ・カターニョ)は、ともに14歳の親友である。 母親が外出したフラマの家で、2人はばっちりの遊ぶ環境を整えた。 宅配ピザを頼んで、テレビゲームを始めた。 しかし、突然の停電で、テレビは消えた。 そこへ隣のリタ(ダニーペレア)が、台所のオーブンを貸してくれ、とやってくる。 2人がお金を払わないと言うと、ピザ配達のウリセス(エンリケ・アレオーラ)は、払ってくれるまで帰らない、とドアの前に座り込む。 テレビゲームで決着を付けようと、ゲームを始めたが、良いところで、また停電となってしまった。 ここから4人の精神の内面へと、映画は徐々に描写を深めていく。 フラマの両親は離婚しており、彼は今週末にも引っ越していくことになっていた。 リタはケーキつくりに失敗したが、マリファナ入りのブラウニーを作って、皆で食べる。 徐々に心が解き放たれて、しんみりしながらも、陽気になっていく。 特別な事件は発生しないが、4人の日常をとおして、人生とはといった主題が軽く描かれる。 登場人物が「マクマレン兄弟」よりも、はるかに若い世代なので、やや切迫感には欠けるが、それでも充分に無常感のようなものは伝わってくる。 メキシコは途上国だろうが、若者の置かれた状況は先進国と同じなのだろう。 彼等は学生で、実社会は知らない。 それにたいして35歳と、ちょっと年のいったウリセスは、すでに人生の厳しさを体験させられている。 日曜日の午後のたった半日を、カメラはモノクロで渋く描いていく。 この映画は、ほぼ全編が室内である。 部屋の中で撮影されているが、画面構成には充分に気を使っており、4人をカメラに平行に並べても不自然さはない。 また広角レンズでの撮影も、ねらった効果を上げており、少ない予算の中で良く戦っている。 アクション映画のような派手さはないが、充分に鑑賞に堪えうる。 2004年メキシコ映画 (2006.5.28) |
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