|
||||||||
有名な童話を映画化したもので、ファンタジーあふれる映像である。 冒頭の雪景色といい、街並みといい、シャープな美意識を感じる。 そのうえ、チョコレート工場の内部は、想像を絶する風景が現出し、とても楽しい。 しかし、原作通りに映画化されたというが、 主題はお説教調がつよく、いささか辟易する。
チャーリー(フレディ・ハイモア)の家は、とても貧しかった。 しかも小さな家には、両親の他に4人も年寄りが同居していた。 老人の1人ジョーおじいさん(デイビッド・ケリー)は、かつてウォンカのチョコレート工場で働いていたことがあった。 しかし、そのチョコレート工場は、今では誰も入ったことはなかったが、不思議なことにきっちりと操業が続いていた。 ウォンカのチョコレート工場が、あるとき5枚のゴールドチケットを、チョコレートのなかに仕込んだ。 このチケットを手にした子供は、ウォンカのチョコレート工場に招待され、 特別な待遇で接待される、と発表された。 ウォンカの工場は、全世界の興味の対象になり、子供たちはきそってチケットを手に入れたがった。 4枚のチケットは、嫌みな子供の手に渡ったが、 残りの1枚が心優しいチャーリーにきた。 工場内部では、ウンバ・ルンバと呼ばれるコビトたちが、忙しげに働いていた。 そして、見学の途中で4人の子供たちは、次々に問題をおこして脱落していく。 ウォンカはチャーリーをいたく気に入り、彼に工場を譲ろうとする。 しかし意外なことに、彼は家族と別れるなら、工場はいらないと答える。 嫌みな子供は懲らしめられ、清く正しい子供は夢が叶うという勧善懲悪と、家族愛の賛歌が主題である。 こんな主題はすでに機能不全になっている。 しかも、チョコレート工場主であるウォンカ(ジョニー・デップ)は、父親との確執があり、 小さな頃の思い出がトラウマとなっていた。 それをチャーリーに直してもらって、めでたしめでたしというご都合主義である。 この監督は1958年生まれだから47歳だが、 歳いって子供が生まれたりして、すっかり常識にそまり保守的になってしまった。 美意識こそいまだ鋭いものがあるが、 「シザーズ ハンド」「マーズ アタック」「スリーピー ホロー」のような、きつい皮肉は影を潜めてしまった。 嫌みな子供たちには、厳しい対応をしているが、それとても勧善懲悪の常識の上である。 彼はこんなセンスではなかった。 小さな時から歯列矯正をやっていたからだが、あまりにもきれいすぎる。 そして、顔もツルツルのメイキャップで、なんだか異様に感じた。 上手いメイキャップといえば、ヘレナ・ボナム・カーターが痛々しくも健気な母親を演じており、いつもとは違った不思議に見えた。 撮影が実にシャープだった。 露出も適正なら、ピントもドンピシャで、色彩も美しく、充実した技術陣であることを感じさせた。 映画が終わって、明るくなった場内を退場しようとすると、 この映画の観客は若い人が、とても多いことに気がついた。 その直後、トイレで見た自分の姿が、あまりの年寄りであることに愕然とした。 自分も本当に歳をとった。 2005年アメリカ映画 (2005.09.14) |
||||||||
<TAKUMI シネマ>のおすすめ映画 2009年−私の中のあなた、フロスト/ニクソン 2008年−ダーク ナイト、バンテージ・ポイント 2007年−告発のとき、それでもボクはやってない 2006年−家族の誕生、V フォー・ヴァンデッタ 2005年−シリアナ 2004年−アイ、 ロボット、ヴェラ・ドレイク、ミリオンダラー ベイビィ 2003年−オールド・ボーイ、16歳の合衆国 2002年−エデンより彼方に、シカゴ、しあわせな孤独、ホワイト オランダー、フォーン・ブース、 マイノリティ リポート 2001年−ゴースト ワールド、少林サッカー 2000年−アメリカン サイコ、鬼が来た!、ガールファイト、クイルズ 1999年−アメリカン ビューティ、暗い日曜日、ツインフォールズアイダホ、ファイト クラブ、 マトリックス、マルコヴィッチの穴 1998年−イフ オンリー、イースト・ウエスト、ザ トゥルーマン ショー、ハピネス 1997年−オープン ユア アイズ、グッド ウィル ハンティング、クワトロ ディアス、 チェイシング エイミー、フェイク、ヘンリー・フール、ラリー フリント 1996年−この森で、天使はバスを降りた、ジャック、バードケージ、もののけ姫 1995年以前−ゲット ショーティ、シャイン、セヴン、トントンの夏休み、ミュート ウィットネス、 リーヴィング ラスヴェガス |
||||||||
|