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6部構成の最終回である。 後編の第1部で予告されたとおり、アナキン・スカイウォーカー(ヘイデン・クリステンセン)が、悪の手先になってしまう。 彼はアミダラ女王パドメ(ナタリー・ポートマン)の恋人だったし、パドメは妊娠している。 今まで彼は、正義役そのものだった。 それが悪のダース・ベイダーになっていくのは、よほどの説得力が必要だが、ちょっと説得力が弱い感じがした。
悪に転落していく要素は、2つ設定されている。 1つ目の要素は、ジェダイの評議員にはなれるが、マスターになれなかった。 彼はより大きな力が欲しいと望んでいたのに、自分が評価されていないと感じ、 自分の属する世界に幻滅を感じてしまう。 そこに野望という邪な欲求が芽生え、悪に転落する契機が埋め込まれる。 次の要素は、パドメが出産で命を落とす夢を見る。 パドメを愛しているので、彼女の死は耐えられない。 すると、彼の野望を見抜いた銀河共和国のパル そこで、彼はパドメを救うために、パドメなどを裏切って悪の手先になっていく。 後編であるこの映画が3部作の最後で、 この映画の最後がシリーズの最初に戻っていく円環構造になっているらしいが、 エピソードTが公開されたのは1999年と、すでに6年もたっている。 そのため観客は、話の展開をすでに忘れている。 やっぱりシリーズ物といえども、一話一話が完結してくれないと、なかなか楽しめない。 今夏枯れで、面白そうな映画がないので見に行くが、他の作品に勝てないように思う。 さすがに映像的には、1作ごとに密実になっている。 宇宙空間の描き方など、これでもか、といった具合に丁寧に、しかも細かく描き込まれている。 sfxと実写との組み合わせもうまく、技術的な進歩は目を見張るばかりである。 しかし、技術を支える物語性やディテールになると、想像力をふくらませるのが如何に難しいか、知らされてしまう。 都市の作りは、相変わらず高層建物が林立し、その間を乗り物が規則正しく走るものだ。 未来都市が超高層建物というのは、もう終わりにしても良いように思う。 超高層建物は、建物内では便利かも知れないが、都市としてみれば実に不便だろう。 超高層建物のあいだは離れているので、建物間の移動のためには、一度地上階まで降りなければならない。 その後、また何十階も上昇するのだから、都市としてみれば不便この上ない。 平面的に広いだけというのも、遠くなりすぎて不便かも知れないが、 アリの巣のように有機的な構造の建物を想像しても良いだろう。 どうも未来都市の定型化が、進んでいるように思えて仕方ない。 新しい飛び方や着陸の仕方を、クリエーターたちは考えても良いだろう。 動物や機械にしても、発想のもとになったものが、簡単にイメージできてしまう。 あっと驚くような想像上の物を登場させて欲しい。 シリーズ連作になってくると、見る方もマンネリ化してくるので、常に新しい驚きを投入しなければならない。 この厳しさは未来物の宿命だろう。 映画の冒頭、分離主義者に捕らわれた銀河共和国のパルパティーン議長を、 オビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)とアナキン・スカイウォーカーが救出にいくが、 チャンバラのシーンに頼りすぎている。 この映画自体が活劇だとしても、チャンバラは物語の決着をつけるものだから、 多用しては物語の密度が下がってしまう。 よくできた西部劇でも、むやみにピストルを発射しないように、 チャンバラは物語の鍵を握るところで、ちょっとだすべきなのである。 全体にチャンバラシーンが多すぎる。 この映画は2時間半を越えており、無駄と思えるシーンがたくさんある。 宇宙のシーンがカットとしても長すぎるし、カット数としても多すぎる。 1944年生まれのこの監督は、すでに60歳を越えており、 「アメリカン・グラフィティ」を撮った頃のような瑞々しさはない。 表現における年齢というのは、ほんとうに残酷なものだ。 2005年アメリカ映画 (2005.08.10) |
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