タクミシネマ  ライフ アクアティック

ライフ アクアティック 
 ウェス・アンダーソン監督

 ビル・マーレー、オーウェン・ウィルソン、ケイト・ブランシェット、それにアンジェリカ・ヒューストンと、この手の映画にしては豪華な顔ぶれである。
他の脇役もなかなかのもだ。芸達者な役者たちが、お馬鹿な演技を見せてくれると、
期待して見に行ったがつまらなかった。

ライフ・アクアティック [DVD]
劇場パンフレットから

 この監督の前作「ロイヤル・テネンバウム」が、予告編はおもしろくて本編がつまらなかったのと、同じ案配だった。
それにしても、この監督はまだ若くそれほどの実績もないのに、大きな予算を集めることができると、本当に感心する。

 海洋探検家のズィスー(ビル・マーレー)が、チーム・ズィスーを率いて、海洋冒険映画の撮影にでる。
この設定がちょっと変わっていて、とある映画祭のようなところで自作を上演するが、きわめて不評である。
汚名返上とばかりに、新たな制作を意図したのだが、その理由を聞かれて「復讐」と、一言。
不評な前作の撮影で、大切な仲間の1人であり、親友だった男を、ジャガー鮫に殺されているのだ。

 しかし、ズィスーにはもはや資金が途絶していた。
大金持ちだった奥さんエレノア(アンジェリカ・ヒューストン)の支持も失われ、
二進も三進もいかなくなっていたところへ、息子だという若者ネッド(オーウェン・ウィルソン)が現れる。
実際に血のつながりがあるか否かは怪しいのだが、ネッドは莫大な遺産をもっており、ズィスーに投資をするという。

 航海に出ようとしているところへ、雑誌の記者ジェーン(ケイト・ブランシェット)が大きなお腹で、取材に参加してくる。
雑誌に出て有名になれるならと、ズィスーは大歓迎で船出する。
といった設定だから、いくらでも羽目を外せるはずだが、
この映画は一体何を訴えたかったのか、最後まで判らなかった。
主題が鮮明ではないので、ちっともおもしろさがない。

 アニメを使ったり、細部は実に凝っている。
お金がかかっている。
海洋探検の船だって、セットを組んだらしいし、何度も登場するアニメだって凝っている。
ユニフォームだって、なかなか洒落ている。
またスチール写真で見る限り、役者たちの仕草もおもしろそうに見える。
状況の設定は、とてもおもしろくなりそうな予感を感じさせる。
でも、映画の展開はつまらない。

 コメディ映画を尊敬する当サイトとしては、おもしろいことを非常に高く評価する。
しかし、コメディ映画がおもしろくなかったら、一体何を救いとするのだろう。
何がおもしろいかというのは、時代や地域によって違うとは思うが、
現在の映画を見る限り、相当程度に共通性を感じる。
スタンドアップコメディを除いて、おもしろさに関しては、日本人の感性とアメリカ人の感性も、ほとんど同じように思う。


 今、売れっ子のケイト・ブランシェットは、本当に妊娠しており、大きなお腹をちらっと見せていた。
妊娠中といえども仕事をしている彼女は、今稼がないと思っているのだろうか。
イタリアが舞台になっていたので、ちょっと旅行といったところだったのだろうか。
人を食ったような演技で、なかなかに上手かった。  
  2005年アメリカ映画
(2005.05.19)

TAKUMI シネマ>のおすすめ映画
2009年−私の中のあなたフロスト/ニクソン
2008年−ダーク ナイトバンテージ・ポイント
2007年−告発のときそれでもボクはやってない
2006年−家族の誕生V フォー・ヴァンデッタ
2005年−シリアナ
2004年−アイ、 ロボットヴェラ・ドレイクミリオンダラー ベイビィ
2003年−オールド・ボーイ16歳の合衆国
2002年−エデンより彼方にシカゴしあわせな孤独ホワイト オランダーフォーン・ブース
      マイノリティ リポート
2001年−ゴースト ワールド少林サッカー
2000年−アメリカン サイコ鬼が来た!ガールファイトクイルズ
1999年−アメリカン ビューティ暗い日曜日ツインフォールズアイダホファイト クラブ
      マトリックスマルコヴィッチの穴
1998年−イフ オンリーイースト・ウエストザ トゥルーマン ショーハピネス
1997年−オープン ユア アイズグッド ウィル ハンティングクワトロ ディアス
      チェイシング エイミーフェイクヘンリー・フールラリー フリント
1996年−この森で、天使はバスを降りたジャックバードケージもののけ姫
1995年以前−ゲット ショーティシャインセヴントントンの夏休みミュート ウィットネス
      リーヴィング ラスヴェガス

「タクミ シネマ」のトップに戻る