タクミシネマ        レーシング・ストライプス

レーシング・ストライプス
   フレデリック・デュショー監督

 監督こそ違うが、「ベイブ」のスタッフが作ったらしい。
明らかな失敗作である。
制作が終わっても、御倉入りという処分が適当だろう。
こんな作品が公開まで至ってしまうのはおかしい。
ましてや日本語吹き替え版まで作っているのは、映画を見る目があるのだろうか。

レーシング・ストライプス [DVD]
劇場パンフレットから

 喜劇はおかしくなければならない。
おかしくない喜劇は、存在する理由がない。
シマウマがサラブレッドと勘違いして、
自分は競馬馬と錯覚しかかったが、途中で自分に目覚めてしまう。
しかし、シマウマのままでも頑張って、サラブレッドに勝ってしまう。
そんな馬鹿な話がありというのだから、よほどしっかり作らないと無理である。

 サラブレッドの間に混じって、走るシマウマの姿は美しくない。
走る姿が決まらないので、どうにも物語が締まらないことおびただしい。
この手の話は、ダメだった馬鹿にされたアヒルの子が、
ある日白鳥に変身するから、感動を呼ぶのだ。
それがアヒルのままでは、物語にならない。

 シマウマはシマウマだとしても、ヒロインを演じたチャニング(ヘイデン・バネッティーア)は明らかにミスキャストである。
16歳の少女という設定は良いとしても、ジョッキーには太りすぎである。
小柄なシマウマの相方なのだから、シマウマを立派に見せるように、もっと華奢な女性をキャスティングするべきだった。

 ダスティン・ホフマンやウーピー・ゴールドバーグといった俳優が、
動物の声を担当しており、必ずしも予算がなかったわけではないだろう。
むしろ、cgの多用には、たくさんお金がかかったはずである。
「ベイブ」は動物を擬人化させることに尽きず、周到な物語性を演出していた。
この映画では諧謔もないし、物語が一本調子にすぎる。
脚本をきちんと検討しないと、失敗するという見本だろう。

2005年アメリカ映画 
(2005.03.16)

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