タクミシネマ        セルラー

セルラー    デビッド・R・エリス監督

 「LAコンフィデンシャル」で復活したとはいえ、キム・ベイシンガーはすでに盛りを過ぎている。
盛りを過ぎた美人女優と、売り出したい若手男優という組み合わせが、いかにもB級映画である。
しかも、主人公の若者ライアン(クリス・エバンス)が、あまりにもスーパーマンというのも、売り出したい意識が見え見えである。

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 誘拐された女性ジェシカ(キム・ベイシンガー)と、彼女から電話を受けた若者が、携帯電話だけを頼りに事件解決にいどむ。
早い展開、謎解きのうまさは、なかなかのもので、見ても損はない映画である。

 突如進入してきた男たちが、女中さんを殺したかと思うと、ジェシカを誘拐・監禁する。
監禁された屋根裏部屋には、壁掛けの電話があったが、犯人が大ハンマーで壊してしまう。
犯人たちは何か探しているようで、そのありかを彼女に問いつめる。
しかし、彼女はガンとして突っぱねる。
犯人たちは普通の犯罪者としては、どこか違った雰囲気である。

 男が電話を壊したので、これで外界との連絡は途絶かと思いきや、彼女は何とか修理して外界と連絡が取れる。
つながった相手のライアンは、彼女の電話をまともに取り合ってくれ、彼女を救出すべく走り回る。
このサスペンスのお約束は、電話が切れたら終わりで、ライアンは携帯電話を切ることができない設定である。

 警察では、受付の警官(ウィリアム・H・メイシー)はメモしただけで、4階の殺人課に行くよう指示するが、途中で電波状態が悪く4階までたどり着けない。
ここで警察からの助力は期待できなくなる。
やがてジェシカの子供や旦那まで誘拐されてしまう。
お目当てのものは銀行の貸金庫にあるとわかり、犯人たちが乗り込む。
しかし何とそこへ来たライアンが、目的の物を手にしてしまう。
あとは両者の追いかけっこと、人質と目的物の交換である。

 後半に至ると、この犯人たちが実は警察官だとわかる。
麻薬がらみ捜査中、誰かを殺したシーンをビデオに撮られ、そのビデオをジェシカ夫婦がもっていたのだった。
だから、犯人たちは悪者風だが、普通の犯罪者とちょっと違っていたのだ。
終盤では受付の警官が大活躍をして、ハッピーエンドになる。

 犯人が警官だったというどんでん返しが、次にやはり犯人たちは悪者だったと、2重のどんでん返しがある。
このあたりの意外性が売りなのだろうが、観客もいまやこの程度では驚かない。
むしろライアンは犯人たちが警官であると知ったのに、そのままジェシカの味方をして、つまり警察を敵として行動するのが不思議だと思ってしまう。
映画を作る方も大変である。
2004年アメリカ映画
(2005.03.09)

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