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超一級の娯楽映画である。 こうした映画を作らせると、ハリウッドは上手い。 騙し騙される瞬間。どちらが味方で、どちらが敵か。 話は何度もひっくり返って、最後まで期待をもたせる。 観客も一緒になって、謎解きが楽しめる。 文句なく星を1つ献上する。
この手の映画の常套手段だが、まず小さな事件を作ってみせる。 この小さな事件に、最後まで引きずるトリックが、伏線としてたくさん張られている。 それらの伏線が、終盤になるに従って、次々に効き目をあらわしてくる。 実に上手い展開である。 B級映画でも、秀作はやはり一流品という証明である。 ロス・アンジェルスでの話、詐欺師のジェイク(エドワード・バーンズ)は、仲間と一緒になって、大きな詐欺をやってのけた。 しかし、奪った金は、ギャングの親分キング(ダスティン・ホフマン)の懐に入るべきものだった。 キングは怒り心頭に発し、直ちに報復に出る。 まず仲間のアルが殺される。 事態を見抜いたジェイクは、一人でキングの所へと乗りこむ。 一山当てるので、それを山分けすることで、許して欲しいと言う。 見張り役にルーパス(フランキー・G)をつけられたが、ジェイクは仲間たちと犯罪を実行に移す。 仲間はゴードー(ポール・ジアマッティ)とマイルズ(ブライアン・ヴァン・ホルト)、それに女スリのリリー(レイチェル・ワイズ)が新入りとして加わる。 銀行の法人融資の担当者を、一時的な融資だと騙して、リリーの色仕掛けで抱き込んでいく。 銀行員に海外の銀行へ送金させ、それを換金してアメリカへ持ち込む、という簡単な手口だった。 しかし、彼らが計画を実行に移した時、ジェイクを追ってFBI捜査官ビュターン(アンディ・ガルシア)が、ロス・アンジェルスに現れた。 ここで計画は中止かと思われたが、それでは映画は終わってしまう。 ジェイクが買収しているロス・アンジェルス警察の警官ウィットワース(ドナル・ローグ)とマンザーノ(ルイス・ガスマン)やFBIも絡んで、話は緻密に展開する。 それがスタイリッシュな画面の切り替えで、時間を前後させながら小気味よく進んでいく。 新人のリリーや見張り役のルーパスを信じて良いのか、それとも刑事たちが正しいのか、一体誰を信じればいいのか。 最後まで話の行方は判らない。 当然に色恋沙汰がからむ。 一夜を共にしたので、2人の間には信頼関係が生まれたかと思いきや、それも怪しくなってくる。 肉体的な快楽は、虚偽ではないだろうから、快楽に陶酔する間は、虚偽の心境が維持できるか。 詐欺師の恋とは、一体どんな心境で進むのか、それに興味が引かれた。 この手の娯楽映画は、2時間が楽しく過ごせれば、もう大拍手である。 入場料も充分に元がとれる。 すでに老人になったダスティン・ホフマンだが、軽い役とはいえ、演技自体を楽しんでいる様子が良く伝わってくる。 大作と言うほどのお金もかかっていないが、それでも脚本がしっかりしていると、充分に楽しめる好見本である。 ジェイクを演じたエドワード・バーンズも、「マクマレン兄弟」の監督とはうってかわって、すっかり役者に変身している。 ウィリアム・ボールドウィンのような不良2枚目を演じて、それなりに味を出していた。 正当派アメリカ人の容貌をもっているので、今後も主演作が多いと思うが、素材だけで生き残れるほどには、アメリカの映画界は甘くない。 演技もきっちりと押さえていく必要があるだろう。 コダックの発色が良い場面もあったが、ちょっと色調の統一が悪い部分もあったように感じた。 それにしても、この手の映画では、何でもありの展開だとはいえ、正義であるはずの人物が寝返るエンディングは、ちょっと安直な話である。 こうした筋書きが許されると、敵味方の区別が不明確になって、話自体が成り立たなく恐れがある。 2002年アメリカ映画 (2004.3.12) |
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