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パナマにある米軍クレイトン基地での話。 レンジャー部隊の7人が、ウエスト軍曹(サミュエル・l・ジャクソン)の指揮のもと、ハリケーン襲来中を訓練にでる。 密林の中は、当人だけが知る世界であり、何があったかは外からは想像がつかない。 芥川の「藪の中」を思わせるような展開で、上質な娯楽作品に仕上がっている。
訓練にでたまま数人が行方不明になり、戻ったのは2名の兵士と1遺体だった。 訓練を率いたウエスト軍曹を含め、なお4名の行方がわからない。 しかも、救助されたときには、他の兵士と味方同士で撃ち合いをしており、1名が死亡している。 不可解な事件をまえにして、オズボーン大尉(コニー・ニールセン)が真相解明に立ち向かうが、手こずっている。 上官スタイルズ大佐(ティム・デイリー)は、非公式に元レンジャー隊員のハーディ(ジョン・トラボルタ)を呼び寄せた。 現在、ハーディは麻薬捜査官だが、贈賄の容疑で謹慎中である。 その彼が生存者の尋問に参加する。 部外者の参加に、オズボーンは反発するが、やがてハーディの優秀さにひかれていく。 彼等の口から出る話は、矛盾したものになる。 それを解きほぐしていくのが、オズボーンとハーディの役目である。 まっとうな道を歩くオズボーンに対して、はぐれ者のハーディというおきまりの設定である。 この手の設定では、登場人物に矛盾した話をさせれば良いのだから、如何様にも話は展開できる。 そうはいっても観客の興味を引きつけるには、映画的なおもしろさがなくてはならない。 話は二転三転する。 何が正しくて、何が嘘だか判らなくなってきたところへ、クレイトン基地内部の問題が絡んでくる。 これはちょっと約束破りで、「藪の中」にはこうした展開はない。 それでも、話が面白ければ良いとしよう。 主人公のオズボーン大尉が女性であることが、この映画に限らず、この手の最近のアメリカ映画の特徴である。 軍隊という肉体勝負の世界に、女性が男性とまったく同様に登場する。 彼女はかつてアメリカ軍病院の医者と恋仲だったが、その医者は麻薬の横流しをやっている。 弁護士の立ち会いを要求する彼に、彼女は電話帳でいきなり顔をはり倒す。 彼は鼻の骨を折る。 もちろん違法な捜査である。 彼は仕方なしに供述を始める。 最後には、彼女の上官のスタイルズ大佐が、この背後に関わっていたことが判り、彼女は大佐をも撃ち殺してしまう。 いまや女性が射殺するシーンは、珍しくも何ともなくなった。 1980年代には、女性がピストルで人を殺すことは滅多になく、あくまで女性はお淑やかだった。 「GIジェーン」を持ち出すまでもなく、女性の地位向上と比例して、女性の暴力性も男性並みになってきた。 この映画でも、レンジャー部隊の隊員に、女性が1人参加している。 アメリカは男女平等に本気で取り組んでいる。 「藪の中」のような密実な緊張感はない。 しかも、密林で死んだはずのウエスト軍曹他が、生きているのは良いとしても、彼等がパナマで活動するのは不可能だろう。 ましてや、彼等が秘密組織<8>だとすると、軍の中にどうやって潜入したのか、ディテールに甘さが残る。 しかし、早くダイナミックな話の展開、証言が次の証言によって、連続的に覆されていく。 小さな言葉の連続から、話がつながっており、娯楽作品としては、そこそこに良くできていると思う。 原題は「Basic」 2003年アメリカ映画 |
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