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実話に基づいた話だというのは、最後になってあかされる。 短絡的に殺人を犯す、現代の若者を描いたように見えるが、話はそれだけではないようだ。 落ちこぼれた子供たちの生活を、リアルの描きながら、現代社会の考察をしている。
マーティ(ブラッド・レンフロ)はサーフィンは上手いが、高校を中退した落ちこぼれである。 ボビー(ニック・スタール)とは幼なじみで、今でも一緒に遊んでいるが、いつも虐められており、フラストレーションが絶えない。 しかし、他に遊ぶ友達はいないし、虐められながらも一緒に行動している。 2人は、バイト先で知り合った女の子アリ(ビジョウ・フィリップス)と、リサ(レイチェル・マイナー)をデートに誘う。 暫くたつとリサは、ボビーとマーティは友人に見えるが、マーティが虐められているのを知った。 それに憤慨したリサは、ボビーを殺そうと持ちかける。 変質的に犯されたアリもボビーの殺害に賛成し、何人かの友達を犯行グループに誘い込み、7人でとうとうボビーを殺してしまう。 しかし、彼らは自責の念に駆られ殺人を喋ってしまうので、犯行はたちまち露見した。 ボビーは暴力もふるうし、独善的である。 ボビーはたしかに憎まれる奴である。 成績もそこそこで、高校も卒業することができそうだし、父親は事業家でその跡を継ぐことが決まっている。 それに対して、マーティは落ちこぼれ、アリは1児の母にもかかわらず、子供を親に預けて遊んでいる。 リサも無目的に日々を生きている。 ボビー以外は全員が落ちこぼれである。 多くの場合、一度できあがった人間関係は揺るがない。 ボビーとマーティの関係も、虐める虐められる関係は、小さな時からまったく不変である。 腕力はマーティの方が強そうだが、ボビーの陰険な支配は崩せない。 そこへ新人女性が登場し、2人の関係を変化させ、殺人へと至らせる。 子供たちの暴力もさることながら、この映画では子供を取り巻く環境が考察されている。 リサの母親も、子供を心配げに見守るだけ。 豊かな生活のなかで、子供たちは目的を失い、どう生きるか分からなくなっている。 落ちこぼれた子供たちだが、妙な正義感はあるから、正しいことのためにボビーを殺す。 しかし、殺してみた後で、殺人の罪責におびえ、周章狼狽する。 我が国なら、1人を殺しただけでは、死刑になることはない。 しかし、7人に下された刑は、3人が終身刑、1人が死刑ときわめて重い。 重罰にもかかわらず、犯罪は防げない。 彼らは懲役7年から死刑までの宣告を受け、減刑を求めてその後の裁判を続けている。 前作の「キッズ」もそうだったが、この監督は現状の暴露を目指しているようだ。 それ以上でも以下でもない。 子供たちの生態は、入念に描かれる。 セックスシーンも全裸で行われるし、妊娠を知ったときのリサの行動も、きわめて直接的な表現である。 また子供たちの演技が上手い。 演出のせいもあるかも知れないが、手持ちのカメラだろうが、子供たちはよく心理を表現している。 最後にマーティが逮捕されるとき、弟のブリーの着ていたTシャツに、「如何なる暴力にもドラッグにも反対する」というメッセージをプリントしていただけである。 アメリカの子供たちは、小さな時から1人前として扱われる。 イギリスの紳士教育がそうであるように、子供といえども自立が要求され、子供だからといって手加減されることは少ない。 我が国では小さな者を、実力以上に過小評価して甘やかすが、近代が進んでいくと子供という扱いが前近代に戻っていく。 子供なる概念は近代とともに生まれたのだから、近代の成熟とともに、子供なる概念が消失していくのは当然である。 しかし、子供は時代を背負う者でもあり、大人の文化を引き継ぐ者でもある。 とすれば、大人の文化を引き継ぐ方法を考えることは、いま不可避になっている。 子供が主題であることは、アメリカ映画のメインテーマである。 2002年アメリカ映画 |
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