タクミシネマ         ぼくんち

ぼくんち   阪本順治監督

 西原理恵子の漫画が原作だし、予告編が面白かったので見に行ったら、死ぬほどつまらなかった。
映画館の椅子に座っていることが、これほどの苦痛を与えることかと、劇場の造りを呪わしく感じ、2度と映画は見ないと決心させるほどだった。
阪本順治といえば、「ビリケン」や「」の監督としても知られ、それなりの力量を持った人だと思う。
しかし今後、彼の作品は見ない。

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 とある島に住んでいる2人の子供がいた。
兄の一太(矢本悠馬)は小学校の中学年だろうか、弟の二太(田中優貴)は小学校に上がるかどうかいとった年齢である。
母親の今日子(鳳蘭)は買い物に行くと言って、半年前から家を出たきりだった。
それでも子供たちは元気に生活している。
この島には、学校はない。
食堂は一軒だけあり、不思議なことに銭湯がある。

 そこに成人した姉のかの子(観月ありさ)を連れて、母親が帰ってくるところから、物語は始まる。
母親は再度失踪するが、姉は残る。
こんな島にもピンク・サロンがあり、姉はそこで働いていた。
しかし、これまた不思議なことに、兄弟たちは姉をまったく知らなかった。
実は弟の二太は、この姉の子供だと言うことが、徐々に明らかにされていくが、話の筋はこの映画にとっては関係ない。


 何がつまらないかって、まず演技が止まってしまう。
台詞を一つしゃべるごとに、役者は立ちん坊になったきり、5秒間ほどアップのシーンが続く。
映画はムーヴィーというのに、この映画は画面が動かないのだ。
そのうえ台詞が、馬鹿に哲学的である。
子供が人生訓をしゃべったり、きわめて観念的な台詞が登場するかと思えば、通俗的な台詞が混じる。

 観念的映画を否定するつもりは毛頭ないし、哲学的かつ超現実的な映画でも、優れたものはたくさんある。
シュールな映画でも良い。
しかしこの映画は、如何なる意味においても論じるレベルに至っていない。
舞台設定といい、主題といい、展開といい、これ以上のつまらなさは存在しないだろう。
この映画は、劇場で上映すべき作品ではない。

2002年日本映画

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