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世界的に有名なファンタジー小説も、2作目の映画化となると鮮度が落ちてしまう。 元来が、イギリスの古い身分制を下敷きにした話なので、前作も新しい時代を切りひらくようなものは何もなかった。 この手の映画は楽しいおとぎ話を楽しむものだが、話の前提が現状肯定的で、むしろ旧を懐古さえしており、このサイトではあまり高い評価をしていない。
「千と千尋の神隠し」についても同じことが言えるが、大ヒットいうのは革新的な主題を扱ったものではない。 むしろ旧を懐古するもののほうが多い。 新しいものは、観客に評価を強いるので、気安くは飛びつけない。 それにたいして、懐古的なものは評価が定まっており、安心して身をゆだねることができる。 だから、大衆請けしやすい。 表面的なパッケージを新装した懐古物は、保守的な臭いが薄れているので、良識派にはとりわけ請けが良い。 わが国の自称インテリたちに、クラシック音楽の愛好家が多い所以でもある。 いつの時代も新たなものは、少数者によって切りひらかれる。 多数決では、時代は進まない。 ロンはより腰抜けになって、ハリーの足手まといになっていたし、ハーマイオニー・グレンジャー(エマ・ワトソン)はあまり出番がないうちに、石にされてしまった。 そのために、ベッドで横になったきり、まったく動かないのだ。 今回は、ハリーのスーパーマンぶりがひときわ目立ち、お話の活発さはだいぶ興がそがれてしまった。 それに次々に登場する話に、ハリーとロンは驚いてばかりいる。 驚愕の顔面が撮されたかと思うと話が進み、また驚愕の顔面が撮されて話が進む。 この繰り返しで、物語の展開に起承転結がない。 顔中を目玉にする驚きの表情は、ここという時の決め使って欲しい。 ワンパターンの多用は、興ざめである。 校長先生(リチャ ード・ハリス)や教頭先生(マギー・スミス)の暖かい眼差しには、今回も相変わらずだが、ハリーは無前提的に正義で、他の子供たちとまったく違う扱いなのは、不自然きわまりない。 しかし、すでに彼の生い立ちが明示されてしまっているせいか、スーパーマン化した正義のハリーになってしまった。 無条件にハリーを肯定する校長先生は、ハリーの信者といった感さえあり、他の生徒との関係で考えると、教育者としては大いに疑問が残る態度である。 正義と悪は鋭角的に対立して、物語なのだし、正義と悪のあいだで揺れる心こそ、観客の気持ちを掴むのである。 ヒットした作品の続編が、前作を超えるのはやはり難しい。 第1作の様子で次作を制作するわけから、前作にどうしても拘束されてしまう。 ヒットした部分を寄せ集めても、面白くなるとは限らないし、まったく違う物語を作るのも難しい。 本来なら、最終編まで一挙に制作してしまうのが良いのだろうが、それでは興行の危険が大きすぎる。 いずれにせよ、続編は難しい。 ディテールの楽しさを除くと、ほとんど見るべきものはない。 また、子供が主役の映画は、続編を創るのがいっそう難しい。 というのは、子供が成長してしまうのだ。 ハリーを演じるダニエル・ラドクリフにしても、前作より明らかに大きくなってしまい、前作にあったような可愛らしさから、やや大人びた感じになっていた。 ロンを演じるルパート・グリントに至っては、変声期に入ってしまったのか、声変わりし始めているような感じさえした。 話を創るところから、受け継ぐところへと、監督の関心が移ると、どうしても手が縮む見本のような映画だった。 2002年アメリカ映画 |
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