タクミシネマ              セイント

セイント      フィリップ・ノイス監督 

 主人公サイモンを演じるヴァル・ギルマーの変装が、たくさん出てくるのが見物くらいで、何ともつまらない映画である。キリスト教の聖人の名前をいくつも名乗る謎の男サイモンが、ハイテクを駆使して世界中で盗みをする話である。


 初めに盗みに行ったロシアの石油商から見事にマイクロチップを盗むが、今度は反対に彼等から盗みを依頼される。盗む対象物は美人科学者(エリザベス・シュー)が発明した低温核融合の方程式である。それがロシアの燃料不足と政変と絡んで展開される。

 最後に、この泥棒は美人科学者と恋に陥るのだが、お金をかけて、そこそこの役者をそろえて、ロシアで大がかりなロケをして、それでも面白くない。なぜこれだけの企画が、つまらなくなってしまうのか。面白い映画を作るのは、難しいことだと知らされる。フィリップ・ノイス監督がメガホンをとっているが、監督だけの責任だろうか。それとも、他の原因があったのだろうか。同じようなテーマで作られた「ミッション インポッシブル」が、無条件で楽しめる成功作だったのに、どうしてだろうか。

 娯楽映画では、難しい話は抜いて、軽いタッチで話を次々に展開する。これが必要なのかも知れない。見ているものに息つく暇も与えないほどに、早い展開、判っても判らなくてもいいくらいの荒唐無稽さ。論理的なつじつまよりも、想像外の仕掛けや展開が必要なのだろう。面白い映画から学ぶことはたくさんあるが、つまらない映画からも教えられることがある。
1997年アメリカ映画。


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