タクミシネマ                  ラヴ アンド カタストロフィ

ラヴ アンド カタストロフィ
 エマ=ケイト・クローガン監督

 オーストラリアはメルボルン大学の学生たちが送るキャンパス生活を描いたものである。
ミア(フランセス・オコナー)とダニ(ラダ・ミッチェル)というゲイの女の子同士の恋愛感情、それでいながら男性講師も恋人にしたい女の子ミア。
男の子にあこがれるアリス(アリス・ガーナー)の女心、田舎から出てきた芋男マイケル(マット・デイ)でも女の子にはもてたい。
どこの国でも学生たちは似たようなものである。

 学生生活は同じであっても、彼等の人間関係の作り方は、我が国のそれとはだいぶ違う。
まず、人が愛し合うことが開放的である。
異性間、同性間を問わず、愛することが肯定されている。
監督はまだ若い女性エマ=ケイト・クローガンだが、今でも現実はほとんど彼女の学生時代と変わってないだろう。
ゲイの台頭や、性交をそれほど隠さないことなどは、我が国とは違う。
我が国の現在の学生生活を知らないが、あれほど人間関係が開放的だとは思えない。

 面白い映画ではあるが、展開は生活描写に過ぎず、これと言った主張があるわけではない。
マクマレン兄弟」とよく似た同じ生活描写でも、生きる悩みを描いた「マクマレン兄弟」とは比べられない。
単なる生態描写ではなく、もっと主張をぶつけてこないと、観客は感動しない。

 「マクマレン兄弟」は超低予算映画だったが、この映画も低予算である。
少ない予算のなかではよくがんばっているとは思うが、何か学生の卒業制作的な感じがする映画である。
それはおそらくセピアがかった画面の色や、たびたび活字で説明するシーンを挿入しているせいだろう。
特に、後半になると活字が現れる頻度が多くなり、観客は何度もそれを読まねばならなくなる。
活字を読ませるのは、映画的な手法ではない。

 この監督はおそらくゲイだと思うが、ゲイをわかってよと言うメッセージは伝わってきた。
自動販売機からコンドームを買おうとして、小銭がなく小銭を友達から借りるシーン。
ゲイが差別される時代はすぎ、ゲイを楽しむ時代になっていることは感じる
1996年オーストラリア映画。


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