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ダイアン・キートンが頑張っている。 まるで彼女のワンウーマン映画である。 この映画の主張は正しいことですよ、という押しつけがましさが、全編にみなぎっており辟易する。 ダイアン・キートンは達者な役者だが、ワンパターンの演技で、見る者を疲れさせる。
ダフネ(ダイアン・キートン)の悩みは、末娘ミリー(マンディ・ムーア)にボーイフレンドがいないこと。 彼女は、長いあいだ後家さんだったが、自分のことは棚に上げて、末娘の伴侶をさがす。 母親が未婚の娘の将来を心配するのはわかる。 しかし、娘のプライバシーまで立ち入って、結婚させようとするのは醜悪である。 親の意志が、娘のために良かれと思っているだけに、きわめて始末が悪い。 いまや結婚だけが幸福への道ではない。 それを知りながら、娘のボーイフレンド探しをする、母親の異常さだけが浮かび上がってくる。 この映画の前提が不明である。 母親は菓子職人として成功し、裕福な生活を送っている。 夫が死んでから、ずいぶんと時がたつようだ。 3人の娘を生んでいながら、性的なことには拒否反応が強い。 性的な満足を体験したことがないと言う。 それでいながら、娘に結婚を薦める異常さ。 ネットで見合い相手を捜し、母親好みの男を見つける。 それを隠して、ミリーに引き合わせる。 しかし、この男とは上手くいくはずがない。 子連れの音楽家ジョニー(ガブリエル・マクト)は、母親の眼鏡にはかなわないけれど、こちらとは上手くいくとミエミエ。 そのうえ、ジョニーの父親ジョー(スティーブン・コリンズ)と、母親ダフネが結ばれる。 この映画の主張が古いだけではない。 「because i said so」という原題のとおり、押しつけがましさが鼻につくのだ。 私が言うの正しいのだから、有無を言わずに従うのだ、という空気が画面に漂っている。 しかも、その主張たるや、今では明らかに間違いだと否定されているものだ。 ダフネはセックスを否定しながら、娘にはセックスを勧める。 ジョーから言いよられると、節操なくベッドへと行ってしまう。 あげくの果てには、セックスの良さに溺れて、結婚式を遅らせる始末。 年寄りの母親が、やっと若い娘たちの常識に追いついた。 そう考えれば許せる気もするが、偏見に満ちた自分の考えを押しつけようとするシーンを、見続けなければならない観客は拷問にあったようだ。 2007年のアメリカ映画 (2007.9.10) |
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