タクミシネマ        カンバセーションズ

 カンバセーションズ    ハンス・カノーザ監督

 友人の結婚式で、10年ぶりに再会した元カップルの話。
アメリカ映画だが、パリで大ヒットしたという宣伝文句に、一抹の不安があった。
イヤな予感が的中し、やはり面白くなかった。
ワイドスクリーンを2分割し、左右に違う画面を映し出す。
すでに何度も試みられた手法だが、うまくいった試しがない。
今回も失敗である。
公式サイトから

 2人はアメリカ人らしいが、女性(ヘレナ・ボナム・カーター)はロンドンに移住して、年寄りの医者の後妻におさまっている。
男性(アーロン・エッカート)はニューヨークに住み続けており、今では弁護士である。
友人の結婚式だが、2人は結婚式には興味はない。
別れた相手に興味が残っており、2人は会ったとたんにベッドインすることだけを考えていた。

 アメリカ映画らしくなく、ネチネチとした会話が続いたあと、ベッドへと画面は進んでいく。
女性のほうは既婚者だから、あくまで一夜限りのお遊びである。
男性のほうは若い恋人はいるが、いまだ独身のせいもあって、未練がありそうである。
しかし、中年になった男女のベッドシーンは、なかなかに辛いものがある。

 ヘレナ・ボナム・カーターはチャーミングではあるが、すでに下腹がたるんでいるし、若いはずのアーロン・エッカートも、見事な中年体型である。
おそらくフランス人には、中年者の肉体関係が受けるのであろう。
たしかに若者のセックスは健康的で趣にかける。
中年者のセックスのほうが、はるかに貪欲で嫌らしい。
若者のベッドシーンを見ても欲情しないが、谷崎的中年の好色さが良いのだろう。

 主な登場人物は2人だけで、映画が描くのは一夜の出会いだけだから、
相当に練り込んだ脚本でないともたない。
しかも会話が多いとくれば、まず脚本である。
残念ながら、優れた脚本とは言い難い。
題名のとおり会話が売り物だから、演技も動きが少なく、きわめて難しい。
良くいえば個性的、言い換えるとやや猟奇的な感じがするヘレナは芸達者であり、完全にアーロンを食っていた。

 なぜこんな映画が撮られたのか、ちょっと理解に苦しむ。
我が国のバイヤーが、買い付けたのには、もっと理解に苦しむ。
後味の悪い映画ではないが、時間の無駄だろう。

「Conversations with other women」という原題だが、なぜ女性との会話か、しかも複数の女性との会話では、この映画の主題がよくわからない。
2005年のアメリカ映画
   (2007.3.18)

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