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人を愛する。 それは相手が異性であろうと、同性であろうと同じである。 いや、同性を愛したときは、世の中が受け入れにくいだけに、純愛になるのかも知れない。 今なら、ゲイも許容されているが、1962年当時は難しかった。
以来、朝の目覚めが虚しい。 半ば抜け殻のようになって、職場に向かう。 三流大学で教鞭を執っているが、なかなか熱が入らない。 彼は自殺を考え、その手はずを整え始める。 ジムが建築家だったせいでか、趣味の良い家に住んでいる。 繊細で研ぎ澄まされた美意識が、隅々まで行き届いている部屋。 磨き上げられた靴。 ワイシャツもきちんと並び、引き出しの中もきちんとしている。 あとはピストルの引き金を引くだけ。 しかし、何度も躊躇し、なかなか引き金が引けない。 そこへ、かつての恋人チャーリー(ジュリアン・ムーア)から、約束を確認する電話がはいる。 破るつもりだった約束を守って、彼女の家にいく。 チャーリーは離婚後、孤独に苛まれている。 2人は若い時代、ロンドンで一緒に過ごした。 良い思い出をもっている。 しかし、遠い昔の話だ。 彼がゲイに目覚めてからは、2人は友人としての関係が続いている。 チャーリーもジョージのゲイを認めている。 ゲイに親近感をもつ学生のケニー(ニコラス・ホルト)が、ジョージに接近してくる。 自殺の決意を見透かしたような言動に、彼は動揺しながら自宅に連れてくる。 そして、明るい若者の言動に、彼は生きる決意をする。 しかし、その直後、彼は心臓発作で死んでしまう。 彼の乗っている車は、メルセデス220Sのクーペ。 当時のメルセデスは趣味が良い。 女性の乗った黒のサンダーバードが、さりげなくスクリーンに現れる。 白いワイシャツに黒いスーツ。 この時代は、まだ様式が残っていた。 彼の住んでいる家も、美しいというより良い趣味の固まりである。 道路から平らなアプローチをへて、室内に入る。 ロスアンジェルスだというが、長袖を着ているから冬なのだろう。 清潔な室内。 カチッとしたスーツ。 それに家事をまかせている老女。 これで愛する人がいれば、申し分のない生活であった。 <A SINGLE MAN> 2009年アメリカ映画 (2010.10.7) |
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