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ニューヨークに住むCM音楽家のハーヴェイ(ダスティン・ホフマン)は、すでに老境に入って、時代のセンスに遅れはじめていた。 スーザン(リアン・バラバン)という娘が1人おり、娘は離婚した妻と一緒にロンドンに住んでいた。 そのスーザンが結婚するので、結婚式に呼ばれたのだ。
彼はロンドンへと向かうが、元妻と娘たちには、仲間はずれ的対応をされる。 結婚式には出席したものの、がっくりしながら披露宴を欠席して、ニューヨークへ帰ろうとすると、飛行機に乗り遅れてしまう。 慌ててイギリスのヒースロー空港から、職場に電話すると、職場の上司も彼をいらないと言いだす始末。 仕事も家族も失い、意気消沈してしまった。 気落ちした彼は空港のバーで、空港の統計局で働くケイト(エマ・トンプソン)に絡む。 酔っぱらいの戯言と相手にされなかったが、いつとはなしにケイトと仲良くなっていく。 ケイトに励まされて、スーザンの披露宴に2人で出ることになる。 披露宴でハーヴェイは、とても心温まる花嫁への言葉を送る。 2人の関係は、ますます深まっていく。 かたや不整脈をもつ70歳近い老人で、かたや未婚の中年女性である。 2人が結ばれるのは、本当は難しいだろう。 我が国なら、絶対に考えられない。 しかし、映画は自然のうちに、共同生活へと踏みだしていくところで終わる。 アメリカ人の老人男性と、イギリス人の姥桜が、遅まきながら幸せな人生へと踏みだしていく。 見ていて実に微笑ましい。 年齢差のあるカップルが増えたとはいえ、初対面の外国人同士で、なんの予備知識もない。 それでも恋は意外なものである。 恋に落ちるのは、老人でも若者でも変わらない。 ましてや恋の進行具合は、誰でも同じである。 相手に対する興味と、不安がない交ぜになって、あっという間に進行する。 待ち合わせを約束するが、それにはちょっとしたオチが付いている。 そのため、本の話がしばしば出る。 ケイトがちょっとさわりを言っただけで、ハーヴェイが本の名前を当てる。 アメリカとイギリスは、同じ文化の国だと思い知らされる。 原題は「LAST CHANCE HARVEY」であり、邦題とはちょっと違う。 しかし、この邦題は許せる意訳だろう。 いくつになっても、人生のやり直しはきくし、恋をするのに歳は関係ない。 我が国でも、老人が増えているから、老人たちも恋をするだろうか。 しかし、この映画のようにはいかないだろう。 我が国の男たちは、趣味らしきものをもっていないし、小説のさわりを言われただけで題名を当てることなどできない。 一般的な話が下手で、男女間での会話がきわめて成り立ちにくい。 女性たちだって、映画の話も出来なければ、音楽の話も苦手である。 しかし、高齢者が仲良くなるには、共通の話題が必要で、我が国ではそれがないのだ。 だから、高齢者の恋はなかなか成立しない。 オールドミスを演じたエマ・トンプソンが、いくらか太って、いかにもの体型を作っていた。 おそらく役作りのために太ったのだろう。 彼女は決して美人ではないが、上手い役者である。 上手い役者は、年齢を問わずお呼びがかかる。 2008年アメリカ映画 (2010.02.17) |
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