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1933年の話。 大胆不敵な銀行強盗の話である。 ジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)は、仲間と共に白昼に銀行を襲い、お金を強奪していた。 捕まって収監されても、脱獄をくり返していた。
ある時、出会ったビリー・フレシェット(マリオン・コティヤール)に惚れ込んでしまう。 銀行強盗には恋は御法度だったが、彼はビリーにメロメロになっていく。 FBIはデリンジャーを社会の敵(Public Enemy No.1)として指名手配する。 これで結末は見えてしまった。 銀行強盗と堅気の女性との恋となれば、もう逮捕されるのは時間の問題である。 かの名作「ボニー アンド クライド」のように、女性も銀行強盗に参加するのではなく、ビリーは待つだけの存在。 これでは映画として、物語が先細るのは見えている。 ビリーの待つ場所には、FBIが張り込んでいる。 権力側と一介の銀行強盗では、敵うはずがない。 徐々に追いつめられて、最後は射殺されてしまう。 なぜ、この映画が撮られたのだろう。 平凡な銀行強盗である。映画化する必然性を感じなかった。 いくら義賊のように描いても、やはり銀行強盗である。 見得こそ切ってはいないが、決まったと思わせる仕草が、映画のできを救うわけではない。 1930年代のスタイルは、男性は男性らしく、女性は女性らしかった。 いかにものファッションで、それはそれなりにカッコイイが、もはや今風ではない。 一種の様式美と化している。ユニセックスのファッションが主流の今日、こうしたスタイルで見せるのでは、映画の本流ではない。 ジョニー・デップは演技がうまい。 微妙な表情を演じわけ、しかも自然な仕草である。 それにたいして、FBI捜査官メルヴィン・パーヴィス(クリスチャン・ベイル)は、ミスキャストだった。 ジョニー・デップが熱い時代の俳優だとすれば、クリスチャン・ベイルはクールな時代の俳優である。 もっとサイキで、精神的な歪さを演じさせると上手いが、ガッツで演じる役は不似合いである。 原題は「Public Enemies」 2009年のアメリカ映画 (2009.12.25) |
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