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インフォーマント!
スティーブン・ソダーバーグ監督

 最初に、1992年に実際におきた事件をもとに、誇張してはいるが、事実に基づいた映画だと字幕がでる。
イリノイ州にある農業関連の大企業ADMは、国際的な価格カルテルをむすんでいた。
その相手が「味の素」だと言われて、日本人のボクは驚くと同時に笑ってしまう。

Still of Matt Damon, Scott Bakula and Joel McHale in The Informant!
IMDBから

 そんなとき、工場でウィルスが発生して、莫大な損害が発生する。
その責任者だったマーク・ウィテカー(マット・デイモン)は、ウィルスをばら撒いた日本企業のスパイから、1千万ドル払うよう脅迫された、と会社に報告する。
会社はFBIに通報し、捜査官のブライアン・シェパード(スコット・パクラ)が派遣されてくる。
 
 マークは国際価格カルテルを、内部告発する。
しかし、会社から10万ドルの昇給を提示されたので、その告発をキャンセルしようとする。
捜査官は、捜査に着手した以上、捜査が進めば、マーク自身が被告になると、密告者を続けるように圧力をかけてくる。
マークは良きサラリーマンを演じながら、スパイを続けることになった。


 スパイを楽しんでいたが、証拠固めが終わり捜査が完了し、会社にFBIが乗り込んでくる。
これだけなら、何でもない。
しかし、彼は同時に会社のお金を、1000万ドルも横領していたのだ。
たちまち被疑者になり、逮捕されて、9年の実刑を食らう。
カルテルの罪は、3年だったから、彼はとんでもない犯罪人となった。

 実際の事件をネタにしたコミックだとは判る。
おそらくアメリカ人たちは、この事件を良く知っているに違いない。
そのため、詳しい事実が捨象されているのかも知れない。
日本人であるボクには、まず事実関係を飲み込むのに、随分と時間がかかった。
話の筋が判りにくいのだ。
また、監督がもってまわった演出をするから、ちょっとピントがずれて、そこがおかしいのだろうが、イマイチ乗れなかった。


 ボーン・シリーズなどでみせるマット・デイモンとは違って、コミックを演じようとしているのだが、変なおかしさが先に立ってしまった。
内部告発したら、彼の上が逮捕されて、彼が社長になると勘違いしている。
間の抜けたサラリーマンを演じているのだろうが、立ち位置がよく判らなかった。

 画面も逆光で撮っているので、一筋の光がさしたりして、これも不自然をねらっているのだろうが、やっぱり不自然なのだ。
インフォーマント=密告者という原題でありながら、間の抜けた密告者ということなのだろう。
間の抜けさ加減が、ボクには何となく座りが悪くて、イマイチピンとこなかった。
「The Informant!」    2009年のアメリカ映画


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