タクミシネマ      ターミネーター 4

ターミネーター 4    マックジー監督

 ターミネーターの第1作は、1984年に公開されている。
第2作目が1991年で、第3作目は2003年である。
どれも最近見たような記憶があったが、もうずいぶんと昔のことだった。
しかも、第3作はサイトに上げていないから、ボクは見ていないようだ。

IMDBから

 第2作目では、ロバート・パトリックの演じたT-1000が、どこまでも追いかけてきて、とても恐ろしかった覚えがある。
しかし、アクション映画というのは、見たらすぐに忘れてしまうものだ。
このシリーズは、人間対機械という主題ではあるが、やはり主題はないに等しい。
アーノルド・シュワルツェネッガーの印象だけが、強く残ってもあまり意味はない。

 シリーズ第4作になるこの映画に、アーノルド・シュワルツェネッガーは出演していない。
彼は自分の息子とこの映画を見に行ったら、この映画が一番面白いといわれて、しょげ返ったとか。
子供は厳しい。
CGは格段の進歩で、息もつかせぬアクションの連続である。
とくにバイクなど機械たちの動きが面白い。


 映画は死刑囚の話から始まる。
2003年に死刑が執行される。
あれ昔の話かと、妙な感じに襲われる。
そこで、死刑囚マーカス(サム・ワーシングトン)は、執行直前に自分の遺体の処分を、機械軍の手先である女性博士(ヘレナ・ボナム=カーター)にゆだねる。
しかし、そこでは何もおきない。

 時代はとんで、2018年。
コンピューター、スカイネットが率いる機械軍と、人類の戦いは熾烈を極めていた。
しかし、機械軍が圧倒的に優勢で、機械に見つかればたちまち殺されてしまう。
人間たちはレジスタンス活動をするのが、精一杯だった。
本部は潜水艦におかれて、機械軍から隠れていた。

 各地に居残るレジスタンスは、リーダーのジョン(クリスチャン・ベール)のもと、逃げながらも健気に闘っていた。
ファイターのブレア・ウィリアム(ムーン・ブラッドグッド)が、記憶喪失のマーカスと出会ったことから、話が本筋に入っていく。

 ヘレナ・ボナム=カーターはカメオ出演と言っても良いくらいしか出ていない。
この映画はクリスチャン・ベール以外は、ほとんど無名の人である。
しかも、いわゆるイケメンとか美女はほとんどいない。
CGにはメチャクチャお金がかかっているが、俳優のギャラは安いものだ。
アクション映画の場合、こうした方向が、良いのか悪いのか。


 無名の俳優の場合は、イメージができていない分、得である。
ファイターを演じたムーン・ブラッドグッドは、ちょっとサルマ・ハエックに似た雰囲気で、独特の魅力を醸しだしていた。
マーカスを演じたサム・ワーシングトンも、無名の人だったが、2人が重要な役廻りをはたす。
しかし、アクション映画では、演技の巧さはあまり関係ない。

 ジョンの父親カイル・リース(アントン・イェルチン)が、ジョンよりも年下だというのが、新しいといえば新しい。
過去をいじると現在が変わってしまうといって、いままでSF物では、過去と現在とか、現在と未来が同時に存在することはなかった。
しかし、この映画では、将来の父親と現在の子供が、同じ画面で手を握ってしまうのだ。

 ジョンはカイルを救出するために、スカイネットに浸入するのだが、カイルの役回りがよく判らなかった。
また、おしのスター(ジェイダ・グレイス)が、何気でやる仕草が良いのだが、この役回りもちょっと了解不能である。
3部作の第1作というから、続編へと続く布石であろう。

 コンピューターが自分で考えるようになると前提すれば、機械と人間の闘いは、どう考えても機械のほうが強いだろう。
人間とコンピューターの違いは、人間は機械と違って情があるということだ、と映画のなかで言っている。
しかし、情って一体何なのだろうか。
この映画では、ジョンの恋人が妊娠中だったが、妊娠中の女性の情は違うのだろうか。

 いまやファイターにも女性はいるから、男女のあいだで仕事上の違いはない。
しかし、肉体的な違いを克服することは不可能だし、男女の肉体差をなくす必要もない。
この映画のようにメカメカのシーンが連続するなかでは、やはり女性の肉体はちょっと違和感がある。
しかも、この映画は、戦場だらけなのだ。

 肉弾が飛びかう古い戦場でも、女性はやや場違いな感じがするが、この映画のようにメカメカの機械との闘いとなると、妊娠中の女性は違和感がある。
おそらくこれはボクの偏見だろうが、機械の冷たさと白く柔らかい肉体とは、馴染みにくいように感じる。
それにたいして、筋肉質の男性的な肉体とは、機械と馴染みが良いように感じる。

 我が国では天皇に玉砕だったから、レジスタンスという発想が馴染みがない。
シリーズの続編へと向けて、<人間とは何か>が問われる、と言っていた。
それにしても、SF物はイメージをふくらませるのが難しい。
原題は「Terminator Salvation」   2009年アメリカ映画


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