タクミシネマ     マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと

マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと
デビッド・フランケル監督  

 ジョン(オーウェン・ウィルソン)とジェニー(ジェニファー・アニストン)が結婚した。
そして、子供ができるまで、犬を飼うことにした。
ラブラドール・レトリーバーを選んだはいいが、200ドルと兄弟のなかでバーゲン価格だったせいか、飼い主の命令を聞かなかった。
マーリーと名付けて飼い始めたが、問題が次から次と噴出する。

IMDBから

 飼い主の言うことを聞かない。
飼い主が犬に振り回される。
だいたい想像はつくだろう動物コメディである。
ひとつひとつのエピソードは、あえて書くまでもない。
むしろ書くべきは、人間の行動のほうだ。

 2人はともに新聞記者である。
結婚と同時に、フロリダへと移住する。
ジョンは幸運にも就職でき、やがて記者からコラムニストへと変わる。
新聞社の花形はコラムではなく、レポーターと呼ばれる記者が書く記事が目玉である。
ジョンは落ち込むが、彼の書くコラムが意外にも好評で、終身雇用まで約束される。

 やがて子供ができ、彼(女)らは幸福の絶頂である。
マーリーが赤ちゃんに悪戯するかと心配したが、幸い赤ちゃんには手をださない。
子供が一人のうちは、ジェニーも復職するつもりだが、2人目が産まれると、専業主婦になる決意をする。
そして、3人目の誕生。ここで、ジョンが落ち込む。


 かつての同僚セバスチャン(エリック・デイン)は、フロリダのローカル新聞から、ニューヨーク・タイムへと出世していく。
コラムニストでも収入は多い。
豊かな生活を営むジョンは、40歳になっていた。
一生を地方紙のコラムニストとして終わるのかと、自分の人生をみつめる。

 彼は子供との平和な生活とひきかえに、出世をあきらめていた。
フィラデルフィアの新聞社からのスカウトも断った。
ふさぎ込むジョンに、ジェニーはフィラデルフィアへ行こうという。
その言葉にしたがって、一家はフィラデルフィアへ移住する。
フィラデルフィア郊外の豪邸に住み、子育てに励む日が続く。
しかし、やがてマーリーが老衰から、死を迎える。

 一家をあげて、マーリーの死を悲しむ。
マーリーの死は、病院で安楽死である。
しかも、まるで人間の死と同じように、臨終の儀式がある。
ペットは完全に家族の一員である。
アメリカでもかつてはペットの扱いも冷淡だったろう。
しかし、いまやペットは人間並みである。
我が国でもペットが、人間同様に扱われている。

 登場する電化製品などから判断すると、この映画は時代設定が古く、おそらく20〜30年くらい前だろう。
だから、ジェニーが子育てと仕事のあいだで悩むのだし、専業主婦の道を選ぶのだ。
いまなら、彼女が職業を放棄することなど考えられない。
ペットが人間並みになっていくことと同時に、時代の進行を感じる。


 しかし、いまこの映画を撮る必然性は何だろうか。
よく売れた原作だというが、原作にはセバスチャンが登場しないという。
大きく改作しているのだから、もう少し撮りようがあったと思う。
 原題は「Marley & Me」
 2008年アメリカ映画

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