タクミシネマ     レイチェルの結婚

レイチェルの結婚    ジョナサン・デミ監督

 姉レイチェル(ローズマリー・デウィット)の結婚のために、施設から一時帰宅を許された妹キム(アン・ハサウェイ)の話である。
バックマン家の長女レイチェルは、素敵な恋人と結婚する。
そのために、バックマン家は大忙しであった。

IMDBから

 キムは麻薬におぼれて、更生施設に入っていた。
家に戻ったキムは、自分が中心ではないことから、疎外感をもってしまう。
結婚式の準備が進むなか、姉ら家族と衝突し、父親(ビル・アーウィン)は何とか穏便にすませようと苦闘する。
映画がすすむにつれて、キムの前歴が明らかになっていく。

 バックマン家には、イーサンという弟がいた。
しかし、キムは麻薬でハイになった状態で車を運転し、橋から転落しイーサンを死なせてしまっていた。
それから彼女は、ますます麻薬にのめり込み、まわりの人々に迷惑をかけ続ける。
それもあってか、両親は離婚してしまった。
そんなバックマン家にとって、レイチェルの結婚は採光の晴れ日だった。

 
 問題児がいると、家族は困惑する。
優等生の姉レイチェルは、キムにはずいぶんと苦労してきた。
辛抱もしてきたし、キムに助力をしたこともあった。
しかし、結婚式の今日だけは、自分が中心になりたい。
そんな彼女の希望は、キムにはなかなか通じない。
多くの友人や親戚が集まるなか、家族の葛藤が続く。

 結婚式の前々日から結婚式までの短い期間だが、映画は問題児の厳しい現実を、ほろ苦いタッチで描いていく。
家族である以上、キムと絶縁するわけにはいかない。
しかし、トラブル・メーカーのキムと何とか穏便に過ごしたい。
手を差し伸べるつもりもあるが、なかなかキムの心には届かない。

 キムがいつから麻薬に手をだしたのかは、映画には描かれていない。
おそらく些細なことから、麻薬にはまってしまったのだろう。
いちど麻薬にはまると、人格が変わってしまう。
イーサンを死なせてしまったから、両親が離婚してしまった。
それだって、麻薬さえやっていなければ、離婚には至らなかった。

 この映画も、一種の反麻薬キャンペーン映画だろう。
麻薬をやるシーンや、麻薬でハイになっているシーンは、一度もでてこないけれど、麻薬がすべてを壊してしまった。
しかも、麻薬患者といえども、1つの人格であり、大切にしなければならない。
新郎の親友は、やはり麻薬患者だったが、いまでは完全に立ち直っている。
先進国の麻薬は、困難な問題である。


 大勢の人が画面に登場する。
黒人からラテン系、アジア人とさまざまな人種が登場する。
白人のレイチェルが夫に迎えるのは、黒人である。
多様性への配慮だろうか。
キムとレイチェルの対立軸がはっきりしているので、物語は混乱なく順調にすすむ。
離婚した母親にデブラ・ウィンガーがでていたが、他には有名俳優は出演していない。
しかも、一軒家を貸し切ってのロケで、ずいぶんと安く仕上がっている。
手持ちのカメラが揺れ動いてしまい、見づらかったのと、露出が不適切だったのだろう、発色が悪いシーンが多かった。

 原題は「Rachel Getting Married」
 2008年アメリカ映画


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