タクミシネマ    ダイアナの選択

ダイアナの選択  バディム・パールマン監督

 銃社会アメリカならではの映画、と言いたいところだが、主題は厳しい選択のトラウマだろう。
と思ってみていると、最後にはまったく違うどんでん返しで、あっけにとられた。
IMDBから

 コネチカット州の郊外の小さな街での話し。
チョイ悪の高校生ダイアナ(エバン・レイチェル・ウッド)は、親友のモーリーン(エバ・アムーリ)と遊んでいた。
母親は一人で彼女を育てており、夜遅くまで働いていた。
高校生特有のいたずらに、ただ何となく日々が過ぎていく。
しかし、ある日、同級生のマイケルが、銃の乱射事件をおこす。

 すでに何人も殺したマイケルは、ダイアナとモーリーンがいたトイレにも、銃をもってやってくる。
そして、2人のうち、どちらかを殺すという。
トイレのシーンと、15年後のダイアナ(ユマ・サーマン)の日々が、交錯しながら映画はすすんでいく。

 
 トイレでのシーンでは、モーリーンは自分を殺しくれと言うが、ダイアナは殺さないでと言ったきり、はっきり返事をしない。
射殺されるシーンは見せないため、てっきりモーリーンが殺され、生き残ったダイアナはトラウマに苛まされる。
と思いながら見ていると、なんとダイアナは「自分を射殺せよ」といっていた。
そして、彼女は殺されてしまっていた。

 いかにもトラウマ映画と思わせていながら、じつはダイアナは殺されていたという結末である。
なんだか騙されたような感じで、事件の後のダイアナは、生きていたらこんな人生だろうという、仮定の話になっているらしい。
でも何だかよくわからない。

 高校生のダイアナは、勉強もしないし、母親を手こずらせてばかりいる。
男と遊んで妊娠し中絶する。
中絶のために医者に行くシーンには、中絶反対のプラカードがみえたり、術後も出血が止まらなかったり、水子の墓地を写したりと、生命尊重・中絶反対の映画化と思ったほどである。

 成人後のダイアナは、大学の教員と結婚し、女の子を授かった。
自分も学校の教員をしており、満たされた生活だが、夫が女学生と浮気していると勘違いする。
このシーンも、よく判らない。
一度は、女学生との浮気と思わせていて、最後には相手はダイアナであると見せる。

 生か死を選ばされ、生を選んだ結果、友人を死に追いやった。
そのトラウマと言うには、話の筋がとおらない。
ローラ・カジシュキーの書いた小説「春に葬られた光」が、原作だという。
原作では、もっと上手く展開されているのだろうが、少なくとも映画ではよく判らない。

 成人後を演じたユマ・サーマンと、高校生時代を演じたエバン・レイチェル・ウッドの雰囲気が違いすぎる。
また、ユマ・サーマンは長い顔と、大きな胸が目立ちすぎじゃないだろうか。

原題は「The Life Before Her Eyes」である。
 2008年アメリカ映画 

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