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ニューヨークというアメリカ的で、かつ全アメリカ的ではない都市で、繰り広げられる女性たちの生態を描いている。 テレビ・ドラマの映画だからだろうか、希薄な内容で残念だった。
我が国の映画では、主人公になりにくい年齢である40歳後半。 ほぼ50歳の女性4人たちだが、二十歳の若者とまったく同じ行動である。 仕事のキャリアこそ積んできたが、男性に対しては、いまだに愛=恋愛を夢見ている。 それは先進国の女性たち共通の資質だろう。 かつて恋愛は、若者のするものであった。 結婚が生活の手段だったから、いつまでも恋に狂っていては、生活ができない仕儀になった。 だから、中年になったら生活に邁進すべきで、色気に狂うなんてことは悪いことだったのだ。 女性も職場にでて、生涯の職業人になった今、恋に年齢は関係なくなった。 女性が経済的に自立すると、簡単に愛が手にはいるかと思っていたら、相手になる男性たちも考えがかわった。 お見合い結婚などないから、恋の相手を捜すのは大変な仕事になった。 この映画の主人公たちは、専業主婦のシャーロット(クリスティン・デイビス)を除いて、みなフルタイム・ワーカーである。 映画は主人公のキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)の結婚を巡る展開だが、結婚に憧れる彼女は相手の男性を思いやらず、結婚と結婚式にあこがれる高校生のよう。 当然のこととして、この結婚は一度崩壊する。 テレビのストーリーに拘束されてか、キャリーの結婚話を中心に据えたため、ただのドタバタ喜劇になってしまった。 目を見張るほどの結婚衣装を、キャリーは何度も身につける。 結婚式が破綻したときの落差を描いたのだろうが、それも物語に有効に働いていなかった。 また演技といっても、絶叫パターンが多く大味だったし、異種の風俗描写にすぎなくなった。 キャリーは結婚志向だが、サマンサ( キム・キャトラル)の生き方が、とても格好よかった。 彼女が目当ての宝石をオークションでねらっていると、他の人に競り落とされてしまう。 その他の人とは、彼女の恋人であり、彼女の希望を知ってプレゼントするために競り落としたのだ。 しかし、ほんとうは彼女は自分で手に入れたかったのだ。 いつも付ける宝石だけに、プレゼントされることによって、拘束されていると感じてしまう。 この感覚は、結婚志向のキャリーはけっして持たないものだ。 専業主婦が家から閉め出されると、そのとたんにホームレスだと言いながら、結婚していくキャリーには、まっとうな神経があるとは思えない。 愛情と結婚は別物だと、すでに多くの女性たちが知っているはずである。 結局、主題の設定が曖昧で、訴えることが絞られていない。 連続テレビ番組の域をでておらず、テレビは好評だったかもしれないが、映画のほうは平凡である。 自立して自由になったはずの女性たちが、いまだに結婚にあこがれているというメッセージが、もう古いのだ。 元気な女性たちを描くのは良いが、元気なのは白人女性だけ。 黒人のアシスタントのルィーズ(ネニファー・ハドソン)を登場させ、人種への配慮を欠いている。 黒人アシスタントが、アンクル・トム的に描かれて、鼻白むことしきりだった。 ルィーズが4人の女性たち以上に良い奴なのだけに、困った話である。 2008年アメリカ映画 (2008.08.27) |
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